血液型不適合妊娠とは?どうやってわかる?赤ちゃんへの影響は?

2019/02/14 19:00
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この記事では血液型不適合妊娠について、医師監修のもと解説します。ABO式血液型やRh式血液型を知ることによって、血液型不適合妊娠の予測や必要な管理に役立てることができます。妊娠初期に必ず血液型の検査をしているので、あらためて検査結果を確認してみましょう。
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血液型のイメージ

 

母親とおなかの中の赤ちゃんの血液型が異なることで、慎重な管理を必要とするケースがあります。今回はそんな血液型不適合妊娠についてまとめました。

 

血液型について

ABO式とかRh式とか、皆さん自分の血液型はご存知ですよね。そもそも血液型とは何でしょう。例えばA型の人の赤血球の表面にはAという物質が存在しています。B型の人の赤血球表面にはBという物質が存在しています。AB型の人の赤血球表面には、Aという物質もBという物質も存在しています。ちなみにO型の人の赤血球表面には、Oという物質が存在しているのではなく、AもBも存在していない状態です。同じようにRh陽性の人の赤血球表面にはDという物質が存在しています。(正確にはRh式にはC、c、D、E、eの血液型が存在し、D物質が存在するか存在しないかと同じように、Cとcのどちらが存在するか、Eとeのどちらの物質が存在するか、というような型もあるのです。臨床的にはD物質の有無が重要なので、D物質の有無だけでRh陽性(+)と陰性(-)とに分けられています)


また、血液型には一般的に知られているABO式血液型、Rh式血液型の他にもMNS式、P式など多くの血液型が存在しています。ABO式やRh式以外の血液型は、医学的に問題となることが稀なので、自分ではどのような血液型を持っているのか知らないだけです。

 

血液型不適合妊娠とは?

血液型不適合妊娠を、代表的なRh式血液型で簡単に説明してみましょう。


Rh(-)の母親、つまり、赤血球表面にD物質(正確にはD抗原と呼ばれています)が存在しない母親です。この母親の体に何らかのきっかけでRh(+)の赤血球が入ったとします。D抗原は、この母親にとっては自分の体には存在しない物質ですからこの母親の免疫システムはD抗原を異物として認識し、D抗原を攻撃するような免疫物質(抗体:IgM免疫グロブリン)が産生されます。この母親がRh(+)(D抗原陽性)の胎児を妊娠したとすると(父親は通常Rh(+)なので、母親がRh(-)でも多くの胎児はRh(+)となります)D抗原を攻撃する免疫物質(抗体:IgM免疫グロブリン)は胎盤を通過し、胎児に移行していきます。胎児の体の中ではその免疫物質により赤血球が攻撃を受けて赤血球が壊されてしまいます。溶血という現象です。溶血により胎児は貧血となり、その貧血の程度により胎児貧血、胎児水腫、胎児死亡などを発生します。


また、赤血球が壊されるために黄疸の原因となるビリルビン(ヘモグロビンの原料ではありますが、単独で高濃度で存在していると毒性を示します。)が産生されます。母体内ではビリルビンは胎盤を通じて母体で処理されるため、通常胎児に黄疸は起きません。しかし、産まれた後も母親からの抗体が赤ちゃんの赤血球を壊し続けるため、ビリルビンの処理が未熟な新生児では、生まれて間もない時期から重症黄疸が起こることがあります。

 

【ABO式血液型不適合妊娠】

ABO式血液型不適合妊娠で、重症の新生児黄疸等が起こることは稀です。
A型=赤血球にA抗原をもち、血漿中に抗B抗体をもつ。
B型=赤血球にB抗原をもち、血漿中に抗A抗体をもつ。
O型=赤血球にA抗原とB抗原はなく、血漿中に抗A抗体と抗B抗体をもつ。
AB型=赤血球にA抗原とB抗原をもち、血漿中に抗A抗体と抗B抗体もたない。


ABO式血液型での、抗体は自然抗体と呼ばれており、生まれながらに存在している抗体です。ですから、ABO式血液型では初めての輸血の時から血液型を一致させる必要があるのです。B型の母親がA型の赤ちゃんを妊娠した場合、母親の抗A抗体が赤ちゃんのA抗原に反応することで赤血球の破壊が起こりそうですよね。また、母親がO型で、児がA型あるいはB型の血液型という組み合わせでも血液型不適合が起きてしまいそうですよね。しかし、実際には、そのようなことは稀にしか起こりません。ABO式の自然抗体は免疫グロブリンの中でもIgMと呼ばれている抗体であり、胎盤を通過することがないからです。ただし、稀ではありますがABO式血液型不適合により、胎盤を通過する抗体が誘導され、重症の新生児黄疸として治療を必要とすることもあります。

 

【Rh式血液型不適合】

Rh(-)の母親がRh(+)の胎児を妊娠した状態をRh式血液型不適合妊娠といいます。Rh式血液型は、D、C、c、E、eという因子の有無での血液型の分類ですが、その中でD因子があるものをRh(+)、ないものをRh(-)といいます。Rh型血液型不適合妊娠は、初めての妊娠では、過去に輸血や流産そして人工妊娠中絶などの経験がなければ、ほとんど何も起こりません。Rh式血液型では、もともとは抗D抗体を自然抗体として母親は持っていないからです。Rh(-)の母親が初めての妊娠中や分娩時に、Rh(+)の胎児の血液が胎盤を介して母体へ入ると抗体が作られます。初めての妊娠は正常に経過することが多いですが、2回目以降の妊娠をした時にRh(+)の胎児を妊娠すると、初めての妊娠の時にできた抗D抗体が胎盤を通じて胎児に移行し胎児の赤血球を壊して、軽症な場合は出生後の新生児に溶血性黄疸を起こし、重症な場合には胎児貧血や胎児水腫や胎児死亡が起こす危険性があります。


Rh(-)の母親には、妊娠中や産後の適切な管理が取り決められています。


・妊娠初期に、その母親が抗D抗体を持っていないかどうかを検査する。
・抗D抗体が陽性の母親では、定期的に抗体価の測定を行う。
・抗D抗体価が高い場合には、超音波検査で胎児貧血および胎児水腫について評価する。
・胎児貧血が疑われる症例では、胎児輸血等を考慮する。

 

Rh(-)の女性にとって重要なことは、妊娠や分娩などの後に抗D抗体を作らないように予防することです。Rh式血液型不適合妊娠を予防するために大事なことは、Rh(-)の女性に、Rh(+)の赤血球が入る機会をなくすことです。また、Rh(+)の赤血球が入ってきても、それに対する抗D抗体を作らせないようにすることです。現在の日本では、輸血に関しては血液型を一致させて行われているので問題ありません。


Rh(+)の赤血球が入る原因として最も多いのは妊娠がらみの出来事です。流産、子宮外妊娠、人工妊娠中絶、羊水検査、稀に腹部打撲などの際に、胎盤が壊れて胎児血液が母体内に流入することにより発生します。ですからRh(-)の女性が妊娠し、上記のような出来事が起きた際には、その女性に抗D人免疫グロブリンを注射する必要があります。その女性の免疫システムが、流入してきたRh(+)の赤血球のD抗原を認識する前に、抗D免疫グロブリンによりブロックするのです。また、正常妊娠中、正常分娩でも、胎盤の一部が壊れて胎児血が母体に流入することが起きてしまいます。抗D抗体が陰性であることを確かめたうえで、妊娠28週頃、分娩後72時間以内に抗D免疫グロブリンを注射することにより、その母親の体の中で抗D免疫グロブリンが作られることを高率に防ぐことができます。Rh(-)の女性でも、上記のような処置を正しく行うことにより、2回目、3回目以降の妊娠・分娩も多くの場合、正常に経過することが可能となります。

 

【その他の血液型不適合】

はじめに説明したように、血液型にはABO式、Rh(D)式以外にも多くの血液型が存在します。例えばRh式ではE抗原やC抗原に対する血液型不適合妊娠が、D抗原に比べれば頻度はかなり低いですが、発生することがあります。また、Rh式以外の血液型、MN式、P式、など多くの赤血球表面抗原により、稀ではありますが血液型不適合妊娠は発生します。これらの様々な血液型(赤血球表面抗原)によって母親の体で作られた多くの抗体をまとめて不規則抗体といいます。

 

全ての不規則抗体が胎児や新生児溶血性疾患を起こすわけではありませんが、妊婦健診での血液検査の結果、不規則抗体が陽性と判明したら、慎重な管理が必要となります。

 

まとめ

母親と赤ちゃんの血液型が異なるすべての場合で血液型不適合妊娠により、胎児・新生児溶血性疾患になるわけではありません。しかし、ABO式血液型やRh式血液型を知ることによって、血液型不適合妊娠の予測や必要な管理に役立てることができます。妊娠初期に必ず血液型の検査をしているので、あらためて検査結果を確認してみましょう。血液型不適合妊娠の管理体制は普及しつつありますが、前回の妊娠で血液型不適合妊娠が起きた方は、初診の時に担当の医師や助産師へ、前回の妊娠が血液型不適合妊娠だったことを必ず伝えましょう。前回と異なる施設で妊婦健診や出産する場合は、過去の母子健康手帳や検査結果(手元に残っていれば)を持参するのも良いでしょう。またRh(-)の女性では、妊娠初期の流産や人工妊娠中絶などの後に正しい処置を行うことが重要ですから、初診の段階で血液型を告げましょう。血液型がわからない場合は検査を早めにしてもらうことが必要でしょう。

 


参考:

・日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会「産婦人科診療ガイドライン産科編2017
・『最新産科学 正常編』(著:荒木勤/文光堂)
・『最新産科学 異常編』(著:荒木勤/文光堂)

 

監修者

医師 北川 博之 先生

産婦人科 | 医療法人至誠会 梅田病院院長


昭和56年愛媛大学医学部卒業。その後愛媛大学付属病院にて産婦人科講師、助教授として勤務。愛媛県立医療技術大学教授を経て、平成20年より現職の梅田病院に院長として就任。現在も愛媛大学、広島大学などで非常勤講師として教育にも従事。



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