帝王切開はどのぐらい痛い?術後の過ごし方や気を付けた方が良いことは?

2019/06/28 11:40
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この記事では帝王切開の術後について、専門家監修のもと解説します。手術がどのようにおこなわれるのかも気になるところですが、手術後に日常生活に戻るまではどうなのかということが心配です。

帝王切開のイメージ

 

帝王切開とは、手術によって子宮壁を切開して胎児を出産させる方法で、最近はさまざまな理由により増加傾向にあるといわれています。帝王切開術は、あらかじめ計画的におこなう予定帝王切開と、経腟分娩で母子や胎児の状態になんらかの危険がある場合に急遽おこなわれる緊急帝王切開術があります。今回は手術の流れと、術後の痛みや術後の生活にスポットを当ててお伝えしていきます。

 

帝王切開となるケース

帝王切開とは出産方法のひとつで、手術によって胎児を出産させる方法です。ほとんどの場合は下半身麻酔でおこないますが、母体の状態により全身麻酔でおこなわれることもあります。また通常は分娩室ではなく手術室でおこなわれ、胎児を出産した後には、胎盤なども手術室で出します。

 

帝王切開で出産となるケースとしては、以下のようなものがあります。

 

●予定帝王切開の場合
1)以前に帝王切開で出産したことがある
2)以前に子宮の手術をしたことがある
3)胎児の頭と母体の骨盤の大きさに不均衡がある
4)前置胎盤である
5)内科疾患の合併(心臓の疾患など)がある
6)感染症の危険がある
7)逆子などの胎位異常がある
8)多胎妊娠(双子や三つ子など)
9)巨大児
10)前置血管(子宮口に臍帯が張り付いているような状態)
など

 

●緊急帝王切開術の場合
1)分娩遷延もしくは分娩停止
2)重症妊娠高血圧症候群
3)常位胎盤早期剥離
4)子宮破裂
5)妊婦心肺停止
6)胎児機能不全
7)臍帯下垂もしくは脱出
8)前置血管が破れてしまった場合
9)Preterm PROM(37週未満に起こる前期破水)

など

 


予定帝王切開の流れ

予定帝王切開の流れについて説明していきます。

 

●入院

入院は手術の前日、あるいは当日になります。前日入院の場合は、最終的な超音波検査や胎児心拍モニタリングをおこなうこともあります。また、最近では必ずおこなわれる処置ではありませんが、産院によってはおなかの毛を剃る処置がおこなわれます。飲食は普段通りでかまいませんが、手術前日の21時以降は飲食不可になります。

 

●手術前の準備

手術当日は、手術室へ行く前に、手術着に着替え、点滴をおこないます。その後、手術室に移動します。

 

●麻酔

手術室に移動したら、手術台に横になり、心電図モニターなどの機器類を装着したのち、麻酔をかけます。麻酔は緊急手術の場合には全身麻酔をおこなうこともありますが、ほとんどの場合が胎児に影響の少ない下半身麻酔で、脊髄くも膜下麻酔または硬膜外麻酔、もしくはこの両方を併用することがあります。下半身麻酔の際には、横向きになって背中を丸めます。脊髄くも膜下麻酔では麻酔科医が背骨の間に針を刺して麻酔薬を注入します。硬膜外麻酔では、背骨の間に針を刺した後、カテーテルを挿入し、麻酔薬を注入します。硬膜外麻酔は術後の痛み止めとして使用することもあります。下半身のみの局所的な麻酔なので、意識はある状態での手術となります。

 

●そのほかの処置

麻酔の処置が終わると横向きからあおむけの姿勢になり、膀胱留置カテーテルという尿を自然に排出する管を尿道口から挿入して手術に臨みます。これらの処置が終わると、手術部位の消毒がおこなわれます。消毒が終わると清潔な布がおなかにかけられ、いよいよ手術がはじまります。

 

●手術

まず、下腹部を横もしくは縦に切開します。膀胱などを避けて子宮を露出させ、子宮の下部を横方向に切開し、卵膜という胎児と羊水を包んでいる膜を切って胎児を出産させます。へその緒を切って赤ちゃんが母体から離れた後、胎盤を出し、子宮、おなかの中(筋層や脂肪層など)をそれぞれ縫い合わせていきます。皮膚表面は糸もしくはスティプラーと呼ばれるホチキスのようなもので縫い合わされ、手術は終了となります。

 

手術室に入り麻酔が終わってから赤ちゃんの誕生までは、だいたい5~10分程度ですが、手術全体の所要時間は1時間半ほどになります。

 

帝王切開の痛みや傷跡について

帝王切開の手術の後に気になるのが、帝王切開の痛みと痛みの緩和方法、傷跡についてではないでしょうか。

 

まず初めに帝王切開の痛みについてですが、術中は麻酔が効いているため、痛みは感じません。麻酔が切れた後や、術後1~2日は傷の痛みと後陣痛のために痛みを強く感じる方が多いようですが、痛みの程度は人によって異なります。また、皮膚を縦に切るか横に切るかによっても変わってきます。横に切る横切開の方が、筋層に準じて切開するために痛みが少ないといわれています。出産の施設によって方針が異なりますので、診察の際に聞いておくといいでしょう。

 

痛みが我慢できないようなら、医師に相談して痛み止めを使用します。硬膜外麻酔をおこなった場合、痛み止めを持続投与して痛みを和らげることもあります。痛みがどのくらいの期間続くのかというと、後陣痛は5日間ほど、傷の痛みはだいたい1~2週間ほどといわれており、さらに1週間から10日後に傷の抜糸をすると皮膚の引きつり感もなくなり、痛みが和らいできます。その後の傷の痛みは個人差がありますが、天気の具合でピリッと刺激を感じたり、傷口にかゆみなどがあることもあります。

 

帝王切開後の傷跡については、体質によりケロイドになりやすい方もいらっしゃるのでその場合には傷が赤くなったり、傷口が目立つこともあります。最近では傷口をテープやクリームなどでケアをすることも可能なことがあるので、医師に相談しましょう。傷跡がケロイド状になり大きく目立つ場合は、形成外科の手術を受けるのも一つの方法です。気になる場合は受診されてもいいかもしれません。


帝王切開後の過ごし方(日常生活に戻るまで)

手術がどのようにおこなわれるのかも気になるところですが、手術後に日常生活に戻るまではどうなのかということが心配です。術後の生活について詳しく説明します。

 

1)手術当日
手術当日は、ベッド上での安静が必要になります。飲んだり食べたりできないので、点滴がおこなわれ、深部静脈血栓症予防のための弾性ストッキングを履いたり、完結的空気圧迫装置という、ポンプのようなもので下肢に圧をかけて血栓予防をする器械を装着します。排泄は、膀胱留置カテーテルを挿入したまま、悪露のパッド交換もベッドの上でおこないますが、自力では動けないので看護師さんなどの助けが必要となります。

 

2)術後1日目から術後1週間
手術後はベッドに長く寝ていることはよくありません。深部静脈血栓症の予防のためにも、術後1日目はできるだけ早く起き上がり、自分で歩けるようになることが目標になります。

 

食事も手術翌日から開始になり、同時に子宮収縮薬などの内服も開始になります。点滴は食事摂取の状況や検査データなどによって継続されます。シャワー開始の時期も施設によって異なりますが、傷の状況を確認し、問題なければ入れるようになります。それまでは、温かいタオルなどで身体を拭くなどの対応がされます。

 

母子同室も施設により開始時期が異なりますが、無理のない範囲で赤ちゃんのお世話をするようにしましょう。抜糸は術後5〜7日後におこなわれます。抜糸前の傷口は回復が進んでいくと乾いて引きつられるような感覚を感じる方もいるようですが、抜糸とともに改善されることが多いようです。

 

3)術後1週間~術後2週間
帝王切開手術の場合の入院期間は8~10日というのが一般的です。術後2週間までの間に退院する形となります。

 

抜糸後の時期になると体がだいぶ楽になっているので、赤ちゃんのお世話をしながら徐々に退院後の生活へ向けて慣らしていきましょう。少しずつ動く量を増やし、廊下を歩くと体力の低下も防げます。可能な範囲での産褥体操も始められるといいでしょう。腹筋運動などは傷に負担がかかるので無理はしないようにしましょう。

 

退院すれば、赤ちゃんとの生活が始まります。ご実家に帰る方や自宅へ退院する方もいらっしゃるでしょう。どちらの場合でも無理せず、赤ちゃんのお世話と身の回りのことを優先しておこないましょう。

 

4)日常生活に戻るまで
日常生活への復帰は産後1カ月の健診を目安にされるといいでしょう。産後1カ月までは、赤ちゃんのお世話を中心に、徐々に家事などできることを増やしていきましょう。1カ月健診で問題なければ、入浴、性生活、パーマ、旅行なども可能になります。産後8週間後からは職場復帰も可能です。重い荷物を持つということは、産後6~8週頃までは避けるようにしましょう。

 

帝王切開後に気を付けること

帝王切開後に気をつけることはどのようなことがあるでしょうか。ママ側とパパ側、それぞれの気をつけるべきことについてお伝えします。

 

1)ママが気をつけること
傷口の痛みが術後1カ月以降も続いたり、傷口が開く、また傷口から浸出液が出てくるようなことがあればすぐに受診しましょう。帝王切開術後、次の妊娠を希望する場合には、インターバルが必要だと言われています。インターバルの期間については医師により意見も異なりますので、かかりつけの医師に相談してみましょう。一度、帝王切開での出産をおこなうと、次回以降の妊娠・出産には子宮破裂などのリスクがあるため、次の出産も同じように帝王切開となることが一般的です。

 

2)パパが気をつけること
ママにとっては帝王切開後も緊張や不安がつきものです。おなかの傷は、歩いたり赤ちゃんを抱っこするときにも痛むもので、痛みで眠れないというママもいます。そして、ママは赤ちゃんのためにがんばり過ぎてしまうこともあります。出産後は心が不安定になりやすく、マタニティーブルーズになるケースもあります。ママが術後に安静にできるような気遣いをすることによって、緊張や不安は和らぎ、スムーズに日常生活に戻ることができるのではないでしょうか。ママにとっては、パパに話を聞いてもらえるだけでも不安は減らすことができるのです。

 

まとめ

ママと赤ちゃんの安全のために、帝王切開になることがあります。いざという時のために知識として知っておくと、帝王切開の術後のイメージもつきやすく、不安を和らげることに役立ちます。また、ママだけではなく家族にも知っておいてもらうと、サポートもお願いできていいですね。

 


監修者:看護師 ROCO

国立大学医学部看護学科卒業後、公立病院周産期センターにて勤務。ハイリスク事例、NICUにて多くの実務経験を経る。現在、不妊治療などの記事執筆・監修に携わる。

 


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