ニュースで児童虐待について報じられると児童相談所の責任や行動に目が向けられますが、児童相談所の役割については知られていないことも少なくありません。今回は児童相談所と子育て支援センターについてお伝えします。
児童相談所は児童福祉の専門機関
児童相談所は各都道府県、政令指定都市、一部中核市が設置する18歳未満の子どもに関する専門機関です。相談に応じ必要な支援をおこなうため、児童相談員、児童福祉司、児童心理司など、専門の職員が配置され、必要に応じて調査や心理検査、医師による診察がおこなわれることもあります。
虐待児童の保護や相談も児童相談所の役割の一つですが、その他にも相談できる内容が複数あります。厚生労働省によると相談内容の分類は以下の5つに分類されます。
①養護相談
保護者がいない場合や病気である場合、事情があって家庭で育てることが難しい場合、虐待や放任の場合等の相談
②障害相談
身体の不自由や心身の発達が遅れていると思われる子どもに関する相談
③非行相談
乱暴な行動や家出・夜遊び等の非行傾向のある子どもに関する相談
④育成相談
落ち着きがない、他の子と関われない、不登校等の心配のある子どもに関する相談
⑤その他
子どもの一般的な健康管理に関する相談、里親になりたい人に関する相談
相談を希望される場合は、児童相談所の訪問または電話での相談が一般的です。相談についての費用は無料で、相談員には守秘義務があります。
未就学児の相談は子育て支援センター
児童相談所は都道府県や政令指定都市等が設置するため、ある程度広いエリアが対象となります。そのため最寄りにない場合もあるため、未就学児(小学校入学前までの児童)の簡単なご相談であれば、市区町村等が設置する子育て支援センター等で相談することもできます。
子育て支援センターとは、地域の子育てをサポートするための施設です。市区町村が運営主体ですが、社会福祉法人・NPO法人・民間事業者が委託を受けて運営していることもあります。児童相談所よりも数が多く、一例として神奈川県の川崎市にある児童相談所は3ヶ所ですが、地域子育て支援センターは53ヶ所もあります。
すでに親子の遊び場所や絵本の読み聞かせ等のイベントで利用している人もいると思いますが、育児・保育に関して知識・経験を有する保育士や看護師等が配置されていますので、子育てに関する相談もできます。相談内容によって専門性が必要な場合は児童相談所やその他行政機関、医療・福祉施設等とも連携を取ることもあります。
子育て支援は、金銭的な補助・助成や施設だけでなく、相談やイベントなどのソフト面へも広がりつつあります。子育てに困ったときはご自身やご家族だけで解決できない問題は、児童相談所や子育て支援センター等の行政機関で相談できることも覚えておくと良いでしょう。まずは、お近くの児童相談所や子育て支援センター等がどこにあるかを知ることから始めてみましょう。