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妊娠中に下腹部が痛むときの対処法は?流産・早産関連の下腹部痛もある?

この記事では妊娠中の下腹部痛について、医師監修のもと解説します。下腹部痛を感じると不安に思う妊婦さんが多いですが、下腹部痛の原因や対処法、注意が必要な下腹部痛のポイントを押さえておけば、いざというときに冷静な判断ができ、不安から来るストレスの軽減も期待できます。

この記事の監修者
監修者プロファイル

医師太田 篤之 先生
産婦人科 | おおたレディースクリニック院長

順天堂大学卒後、派遣病院勤務を経て、平成22年より順天堂静岡病院周産期センター准教授就任。退職後、平成24年8月より祖父の代から続いている「おおたレディースクリニック」院長に就任し現在に至る。
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下腹部痛のイメージ

 

妊娠中に下腹部痛を訴えるケースが多く、不安を感じる妊婦さんが多いといわれています。何が原因で、どのような症状を感じやすいのかを対処法と合わせてご紹介します。注意が必要な下腹部痛の特徴についても一緒にお話ししたいと思います。

 

妊娠中に起こる下腹部痛の原因

多くの妊婦さんが妊娠中に経験する下腹部痛は、さまざまな原因が考えられるため、下腹部痛が起こるタイミングもさまざまですが、妊娠初期に下腹部痛を感じる人が多いといわれています。器質的疾患がない妊婦さんが妊娠初期に下腹部痛を感じやすい原因としては、次の3つがあげられます。

 

1.ホルモンバランスの乱れによる便秘や下痢
女性の子宮では妊娠成立のために、子宮内膜を増殖させて受精卵を着床しやすくさせる働きのあるエストロゲンや、妊娠が継続しやすい環境に整える働きのあるプロゲステロンが持続的に分泌されるようになります。

 

また、妊娠が成立すると、胎盤からhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)やhPL(ヒト胎盤性ラクトゲン)も分泌されるようになり、ホルモンバランスが大きく変化します。ホルモンバランスが乱れると、腸の機能低下を引き起こすケースが多く、つわりによる食生活の乱れと重なって便秘や下痢を起こし、それにともなう症状として下腹部痛を感じやすい傾向があります。

 

2.子宮の成長
非妊娠時の子宮は、鶏卵大程度の大きさです。しかし、妊娠すると、妊娠11週にはこぶし大程度になり、妊娠20週になるころには子どもの頭くらいの大きさに急成長するため、人によっては、子宮の大きさの変化による違和感や痛みを覚えることがあります。

 

3.靱帯のつれ
妊娠をすると、赤ちゃんが産まれやすくなるように骨盤が広がります。子宮は、円靱帯(えんじんたい)で骨盤とつながっていますが、妊娠によって靱帯がゆるみ、骨盤が広がることで、体をひねったときに靱帯が引っ張られて下腹部に痛みを感じることがあります。

 

妊娠中の下腹部痛はどんな痛み?いつまで続く?

妊娠中に起こる下腹部痛は、妊娠初期から起こりやすいといわれていますが、いつごろまで感じるものなのか、心配される方も少なくありません。妊娠中の下腹部の痛みの特徴とともに見ていきましょう。

 

【妊娠中に感じやすい3つの下腹部痛】
下腹部痛の症状は、人によって感じ方が違いますが、痛みを表現すると、概ね次のような痛みを感じやすい傾向があります。

・針などでつつかれているようなチクチクした痛み
・締め付けられるような痛み
・おなかが引っ張られるような痛み

 

妊娠中に起こる下腹部痛は、妊娠初期にみられることが多く、痛みを感じてから1カ月ほどで痛みに慣れて気にならなくなるといわれています。ただ、子宮の成長にともなって子宮周辺の臓器や筋肉が圧迫されたり、刺激を受けたりするため、妊娠中期や後期になっても下腹部の不快感や痛みが続く人もいます。

 

下腹部痛の対処法

妊娠中の下腹部痛の主な対処法としては、次の2つがあります。

 

・体を冷やさないようにして安静にする
妊娠すると胎児の血液も確保する必要があり、循環血液量がアップしますが、体が冷えていると血液循環がスムーズにおこなえません。体が冷えないように対策しながら安静にすることも大切です。

 

・ストレスをため込まない
人間の体は、自律神経系や内分泌系などの絶妙なバランスによって、心と体の健康を維持していると考えられています。しかし、妊娠中は、これまでのような生活ができず、制限されることも多くなってストレスを感じてしまう人が多い傾向があります。ストレスは、心と体のバランスを崩して、下腹部痛を招く可能性があるため、妊娠中でも楽しめる趣味などでうまくストレスを発散することも大事です。

 

注意が必要な下腹部痛とは

妊娠中の下腹部痛には、注意が必要なケースがあります。それは、流産や早産、子宮や卵巣などの病気が関連した下腹部痛です。

 

流産や早産が関連した下腹部痛

妊娠22週未満で妊娠が中断してしまう「流産」や、妊娠22週以降から37週未満の出産の「早産」の症状として下腹部痛が起こっている可能性があります。流産の場合、少量の性器出血を伴うことが多く、早産では、周期的な陣痛や分娩を一気に進行させる破水が起こりやすいです。また、切迫流産や切迫早産の場合、下腹部に触れたとき、子宮が固く収縮していることが多いため、下腹部痛以外に気になる症状がある場合は、かかりつけの病院へ連絡して、すぐに病院へ向かうようにしましょう。

 

子宮や卵巣などの病気が関連した下腹部痛
妊娠中に下腹部痛を引き起こす可能性がある病気は、以下のようなものがあります。

・子宮筋腫
・子宮腺筋腫(子宮内膜症)
・卵巣腫瘍
・胃腸炎
・膀胱炎
・尿路結石

安静にしていてもよくならないケースは、病気が原因の可能性が考えられるため、一度病院で診てもらうとよいでしょう。

 

まとめ

下腹部痛を感じると不安に思う妊婦さんが多いですが、下腹部痛の原因や対処法、注意が必要な下腹部痛のポイントを押さえておけば、いざというときに冷静な判断ができ、不安から来るストレスの軽減も期待できます。ただ、知識を過信しすぎないことも大切です。下腹部痛以外にも気になる症状がある場合は、迷わずかかりつけの病院を受診するようにしましょう。

 

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