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妊娠中の血液検査は最低3回!何を確認する?検査の日に気を付けること

この記事では妊娠中の血液検査について、医師監修のもと解説します。採血が苦手な方は、血液検査が憂鬱に感じられることもあると思いますが、母体と胎児を守るためにはとても大切な検査です。

この記事の監修者
監修者プロファイル

医師福岡 正恒 先生
産婦人科 | 産婦人科医

京都大学医学部卒。同大学院修了後、京都大学助手、講師を経て、平成11年より産科婦人科福岡医院院長。京都大学在職中は、婦人科病棟や産科病棟などを担当。またこの間、英国エジンバラ大学・生殖生物学研究所に留学。日本産科婦人科学会・産婦人科専門医、京都大学医学博士。
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採血のイメージ

 

妊婦健診では出産までに最低でも3回行われる血液検査。採血は痛いので、できれば回数が少ないといいなと感じる妊婦さんもいるかもしれませんね。妊婦健診での血液検査では、どのようなことがわかるのでしょうか。どうして必要なのでしょうか。今回は、そんな妊娠中の血液検査についてまとめました。

 

妊婦健診の血液検査の目的

妊娠中の血液検査は、妊娠の経過が正常であることの確認と、異常の早期発見や予防を目的に、妊娠週数に応じて定期的な妊婦健診の際におこないます。血液検査に異常があれば、妊婦健診の間隔を短くしたり、必要に応じて治療や入院管理をします。状況によっては、健診先の産院からその異常に対応可能な施設へ紹介、あるいは転院、母体搬送をすることもあります。

 

妊娠中の血液検査の項目と週数について

日本では妊婦健診を妊娠23週までは4週間に1回、24~35週は2週間に1回、36週以降は1週間に1回受診することを基準の回数としています。その妊婦健診での一般的な血液検査の項目とタイミングは次の通りです。

 

末梢血液検査:初期、妊娠中期(24~35週)、妊娠後期(36週以降出産まで)各1回

主に、貧血や血小板数減少がないかどうかを確認します。妊娠28週以前の貧血は、母体の鉄分・葉酸・ビタミンB12などの不足によるものが大部分ですが、妊娠中期以降血液中の水分(血漿)量がふえるために「見かけ上の貧血」も現れやすくなります。出産時の出血に備えるためにも、あきらかな貧血は改善しておく必要があります。また血小板数減少は妊娠高血圧症候群やHELLP症候群との関わりがあるため、とくに妊娠中期以降では大事な検査となります。

 

血液型に関する検査(ABO血液型、Rh血液型):初期に1回

母親の血液型を調べる検査です。ABO式血液型とRh式血液型を調べます。Rh型では一般的にRh(+)が多い(日本人は99%以上)のですが、まれにRh(−)の場合があります。母親がRh(−)で父親がRh(+)ときには、胎児との血液型不適合の可能性があるために、抗体価の測定など特別な検査が必要になってきます。また、ABO型は緊急手術や出血の可能性がある場合の輸血準備のために検査します。

 

不規則抗体検査:妊娠中に1回

前項の血液型不適合の原因はRh型だけとは限りません。不規則抗体と呼ばれるこれらの検査のスクリーニングをして陽性であった場合、どの種類の抗体であるかさらに調べます。胎児に影響を及ぼす抗体は抗Rh抗体(抗D抗体)以外にはほとんどないのですが、種類によっては輸血をおこなう際にABO型だけではなく、特殊な血液の選別が必要になることがあります。

 

血糖:初期に1回、24~35週の間に1回

妊娠中は血糖値が高くなりやすいため、糖尿病の早期発見のために血糖値を確認します。1回の検査で血糖値が高い場合は、さらにグルコース負荷試験を行って糖尿病や妊娠糖尿病の可能性がないか調べる必要があります。

 

風疹ウィルス抗体:初期に1回

妊婦が妊娠初期に風疹に感染すると、赤ちゃんが先天性風疹症候群になる可能性があるため、風疹ウィルスに対する抗体があるかどうかを確認します。もし抗体がない場合は妊娠中に風疹に感染しないように注意が必要です。ご主人やお子さんに予防接種を受けてもらうことも勧められています。

 

B型肝炎抗原/C型肝炎抗体/HIV抗体/梅毒:初期に1回

それぞれの感染症の有無を確認します。もし感染がある場合は、赤ちゃんへの感染が起こらないための対応や処置をおこないます。

 

HTLV-1抗体:初期~30週頃までの間に1回

母体がHTLV-1(ヒトT細胞白血病ウィルス1型)に感染している場合、母乳を介して赤ちゃんへも感染する可能性があります。妊娠中に感染を確認し、産後の授乳方法を予め検討することで、赤ちゃんが感染する可能性を下げることができます。

 

参考:

“妊婦健診”を受けましょう(リーフレット)|厚生労働省

 

妊婦健診の血液検査の費用は?健診の助成について

妊婦健診の全体の負担額は約5万円とされていて、高額なものと感じるかもしれません。妊婦健診のときの血液検査は平均1回に約1万円とされ、任意の検査をおこなうともう少し高くなることもあります。検査項目は、中期や後期と比較して、感染症検査が多数行われる妊娠初期には多くなり当然検査料も高くなります。

 

しかし、なるべく費用を抑えたいというところは本音。検査の回数や費用を減らすことはできませんが、住民登録のある市区町村へ妊娠届を提出すると、母子健康手帳と一緒に妊婦健康診査助成券を受け取ることができます。この助成券を妊婦健診のときに医療機関へ提出すると費用の一部が助成され、自己負担額を抑えることができます。妊婦健診にかかる全額が助成されるわけではないので、助成券の金額を超えた差額分は、自己負担することになります。

 

助成券の使用は、各市区町村が妊婦健診について委託契約をしている医療機関に限られています。その医療機関は、助成券を受け取った時に配布される資料や各市区町村のホームページに掲載されているのでチェックしましょう。

 

助成券には、検査項目が記載されている受診券タイプと補助金額が記載されている補助券タイプがあり、市区町村によって配布するタイプは異なります。そのため、市区町村によって助成券、受診券、受診票、補助券など呼び方が違います。

 

妊娠中に引っ越し等で住所を異動した場合は、転入前の助成券をそのまま使用できませんので、転入先の市区町村へ必ず確認しましょう。また、里帰り出産などで委託医療機関以外で助成券を使用せず、自費で支払った場合は、住民登録のある市区町村へ償還払い(申請した口座へ返金される)の手続きをすることで健診費用の一部助成が受けられます。詳しくは、住民登録のある市区町村のホームページ、役所もしくは保健センターで確認しましょう。

 

血液検査を受けるときに気を付けること

血液検査で血糖値以外の検査項目は、直前に飲食しても検査結果には特に問題はありません。しかし、妊婦健診には血糖値の検査はつきものです。そのため、検査前日~当日の飲食について指示がある場合があります。妊婦健診後に次回の健診について説明があるので、しっかり確認するようにしましょう。

 

検査前日や当日だけ甘いものや脂っこいものを避けたり、鉄分を多く含む食材を摂ったり、食事を抜いたとしても、検査結果には普段の食生活の影響が現れます。妊婦健診前に極端な食事制限をするのではなく、日頃から栄養バランスのとれた食事を心がけましょう。また、健診や検査の待ち時間に、糖分を含むお菓子や飲み物を摂ると、普段は食事に気をつけていても血糖値が高いと判断される可能性もありますので気をつけましょう。

 

いつも服用しているお薬がある場合は、基本的には内服してかまいません。内服薬については、妊娠がわかったら必ず医師に相談しましょう。もし、検査の方法や結果などについてわからないことがあれば、遠慮せずに担当の医師やスタッフへ相談するようにしましょう。

 

まとめ

妊婦健診での血液検査の必要性や内容についてお話ししました。採血が苦手な方は、血液検査が憂鬱に感じられることもあると思いますが、母体と胎児を守るためにはとても大切な検査です。検査項目の内容を知って、適切なタイミングで検査や治療を受けられるように備えましょう。

 

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