夫は「以前と今とでは自分の感覚が変わった」、なかでも子どもがかわいそうな目にあったニュースも、映画も、ドラマも、見られなくなってしまったという。
子どもが悲しい目に合ってしまう、そんなニュースに心を痛めて涙する妻と、気にも留めない夫。妻にとってはこんな些細な違いさえ、切なかった。
「男の人は産んでないし、そういうもの」「いつか変わってくれるはず」
自分にそう言い聞かせて、父親らしくなるのを待っていたけれど、ずっと「いつか」は来なかった。さらに、すれ違ってしまうのには、理由があって……。
なんでこんなに変わらないの?夫に不満が募っていた
私は変わったのに、カズ君は出会った頃のまま。ずっと「もっと父親らしくなってほしい」と願っていた。
一方、夫は妻に「前はもっと優しかったのに、子どもを生んだら変わっちゃたね」「前の雪穂に戻ってよ」と言い、変わったことを嫌がっているようだった。
「子どもを生んでいない、過去の私」を求められることが、どれだけつらいか……虚しくて、苦しかった。
ねぇ、なんで、逆にあなたはこんなに変わらないんだろう。
変わろうとしてくれないの?
夫が変わることを望む妻と、妻が変わらないことを求める夫。思いがすれ違い、当時の生活に歪みを生じさせてしまっていたのだった。
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