同じ事柄を2つの異なる基準で評価することを「ダブルスタンダード」と言うそうです。私の母親は、自分の気分や状況によって、意見がよく変わる人でした。母親の発言には一貫性がないため、私はいつ、何をしても母親に怒られるような気がして、いつもビクビクしていました。そんな母親に育てられた、私の体験談をご紹介します。
そのときどきで言うことが変わる母
私が母に「このお菓子食べていい?」と聞くと、母は「食べていいから、そんなのいちいち聞かないで!」と言われました。別の日、私がお菓子を食べていると「何勝手に食べてるの!? 開ける前に聞きなさい!」と、叱られてしまいました。このように、「あのときはこう言われたのに、今は違うことを言われる」ということがよくありました。
私は次第に母の顔色を伺うようになり、どうしたら母に怒られないかばかりを考えて行動するようになりました。しかし、それでも私は母に怒られる日々が続きました。
やる気が低下……母親を避けるように
前に言われたことをきちんと守っても、今回は怒られるかもしれない。何をしても結局怒られるならば、何もしたくない。そんな思いから、私は母の前ではものに触らないように、とにかく目立たないように、おとなしくするようにしていました。すると今度は「何ぼーっとしているの!」と怒るのです。私は、母の視界に入らないように過ごし、母を避けるようになりました。
気付けば母との会話は、生活に必要な最低限のもののみになっていました。そんな日々はとてもつらかったです。
ダブルスタンダードゼロは難しいけれど……
そのような子どものころの経験から、母になった今、ダブルスタンダードな態度は取らないようにとても気を付けています。しかし、子どもに与えられない食材を大人が食べているときなど、状況によってダブルスタンダードにならざるを得ないことがあることも確かです。
そのようなときは、一方的な言い方をするのではなく、必ず娘の目を見て、まだ娘が理解できなくても、きちんと説明をするようにしています。幼いころの私のように娘が萎縮してしまわないよう、できるだけやさしく伝えるように心がけています。
私は自身の幼いころの経験から、子どもにダブルスタンダードな態度を取ることは、子どものやる気の低下を招き、子どもが心を閉ざしてしまうことがあると実感しています。わが子がそうならないよう、これからも気を付けていきたいです。
著者:丸川朋
一女の母。出産を機に仕事を退職。子育てのかたわら、妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆中。現在第二子妊娠中。