こんにちは!助産師のREIKOです。妊娠前はそんなことなかったのに、妊娠したら「貧血」と言われてしまったという方もいらっしゃるのではないでしょうか? 妊娠によって、ママの体にはさまざまな変化が起こります。「貧血」もある意味、ママの体の変化によるものなんです。そこで今回は、妊娠中の貧血についてお話しします。
そもそも血液って……?
上の画像は、検査に使う血液です。「え!?血液って赤いんじゃないの?」という声が聞こえてきそうですが、血液が固まらないようにして放置しておくと画像のように赤黒っぽい部分と透明な黄色い部分、見えにくいですが白っぽい部分に分かれます。
赤黒っぽい部分が赤血球、鉄分を多く含んだヘモグロビンが詰まっています。黄色い透明な部分は血漿(けっしょう)、ミネラルや水分を多く含んでいます。見えにくい白い部分は白血球です。
どうして妊娠すると貧血になるの?
貧血にもいろいろと種類があるのですが、ここでいう貧血は「鉄欠乏性貧血」のこと。血液中の赤血球やヘモグロビンの値が低い状態をいいます。しかし、妊娠中の貧血のメカニズムは少し違います。
妊娠中は、ママだけでなく赤ちゃんに酸素や栄養を届けるために、多くの血液が必要になります。そのため、血漿(先ほどの画像の透明な黄色の部分)と赤血球(赤黒い部分)が増えるのですが、血漿のほうが赤血球の倍以上増えるため、相対的に赤血球の量が減ったように見えるんです。
加えて、赤ちゃんにも鉄分を送らないといけないので、ママは貧血になりやすくなるんですよ。
妊娠中に貧血になるとどうなるの?
貧血になると、疲れやすさや動悸、息切れ、めまい、頭痛などの症状が出ます。氷を食べたくなるという方もいらっしゃいます。妊娠前から貧血だったママは、意外と体が慣れてしまっている可能性があり、症状の悪化に気付きにくいということもあるので注意が必要です。
貧血が改善されないと、出産の際にも陣痛が弱くなったり、産後の出血が多くなったりします。重度の貧血では、赤ちゃんの成長にも影響を及ぼす可能性があります。
妊娠中に貧血といわれたらどうすればいい?
妊婦健診では血液検査を定期的におこない、貧血の状態を確認していきます。貧血と診断された場合、食事とお薬で治療します。
食事は、レバーや小松菜、アサリなど、鉄分の多い食材を摂るように心がけましょう。ただし、レバーの摂り過ぎには注意してくださいね。また、ビタミンCは鉄の吸収を助けてくれます。緑黄色野菜を中心にたっぷりと摂りましょう。コーヒーやお茶は鉄の吸収を妨げるので食事前後の1時間は控えてくださいね。
お薬を使用する場合、多くは内服薬による治療になります。内服薬はきちんと飲みましょう。しかし、人によっては気持ち悪くなったりするので、そのときはかかりつけの先生に相談してください。飲みやすいシロップタイプのものもあるので変更してくれるかもしれませんよ。場合によっては、鉄剤の注射をおこなうこともあります。お薬を使っていると、便秘になったり、逆に下痢になったりすることもあります。また、便が黒っぽくなりますがおどろかないでくださいね。
ママの血液量が増えるピークは妊娠36週ごろ。日ごろから食生活に注意しながら、貧血予防をしていきましょう。
著者:助産師 REIKO
医療短期大学専攻科卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。