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胎盤の役割って?どんな働きがあって、いつつくられる?

この記事では、胎盤について専門家監修のもと解説します。胎盤は赤ちゃんを育てるという重要な役割を果たしています。胎盤の状態が悪くて充分に機能していない状態(胎盤機能不全)に陥ると、おなかの中の赤ちゃんにも影響を及ぼす恐れがあります。

この記事の監修者
監修者プロファイル

助産師松田玲子

医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
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妊婦のイメージ

 

胎盤は妊娠することによってつくられる特殊な臓器です。非常に小さな受精卵が体重3,000gほどもある赤ちゃんへと成長できるのは、胎盤の働きによるものです。ここでは、胎盤の構造や働き、注意すべき病気などをご紹介します。

 

胎盤とは

胎盤は妊娠7週ころからつくられ始め、妊娠15~16週ごろに形や機能が完成します。その後、徐々に大きくなり、赤ちゃんが生まれると子宮の壁からはがれて自然に排出されます。

 

妊娠満期のころの胎盤は、個人差はありますが円盤状の形をしており、重さ約500ℊ(胎児体重の約1/6)、直径約20cm前後、厚さ2cm前後となります。一般に、妊娠高血圧症候群や染色体異常などでは胎盤は小さく、胎児水腫や妊娠糖尿病では大きくなる傾向があるといわれています。

 

胎盤の構造と働き

胎盤の内部は血管の集合体のようになっています。胎児由来の成分である絨毛が母体血に浸かっているような状態で、絨毛を介してガス交換や栄養の輸送などをおこなっています。

 

胎盤はおなかの中の赤ちゃんの生命維持の役割を果たす重要な臓器で、以下のような働きがあります。


・栄養をおなかの中の赤ちゃんに供給する
・おなかの中の赤ちゃんの老廃物を排出する
・おなかの中の赤ちゃんに酸素を供給し、二酸化炭素を排出する(ガス交換)
・おなかの中の赤ちゃんに対して拒絶反応を起こさないようにする
・妊娠を継続するためのホルモンを分泌する

 

また、直径0.1mm程度の受精卵を約10カ月で約3,000gもの胎児へと育て上げるのが胎盤の役割です。このように胎盤は驚異的な働きを持つため、胎盤から抽出したエキス(プラセンタエキス)をさまざまな分野において利用する研究が進められています。

 

胎盤の異常(常位胎盤早期剥離、前置胎盤、癒着胎盤)

おもな胎盤の異常には、常位胎盤早期剥離、前置胎盤、癒着胎盤があります。

 

●常位胎盤早期剥離
正常の位置に付着している胎盤が、赤ちゃんが生まれる前に子宮壁から部分的、あるいは完全にはがれ落ちてしまう状態を常位胎盤早期剥離といいます。常位胎盤早期剥離の頻度は、全分娩中0.5~1.3%とされていますが、年々増加傾向にあるとの報告もあるようです。

 

常位胎盤早期剥離が生じると、母体死亡、胎児死亡の割合も高くなります。わが国での脳性麻痺児は常位胎盤早期剥離が原因であるケースが多くなっています。そのため早期発見・治療が重要です。

 

常位胎盤早期剥離は原因不明ですが、さまざまなリスク因子があり、妊娠高血圧症候群や早産の時期の前期破水、腹部の外傷、喫煙、過去の常位胎盤早期剥離の経験などが挙げられます。

 

常位胎盤早期剥離は、内出血が多く、外出血が少ないという特徴があります。重症の場合、出血により血圧が低下し、ショック状態に陥ります。そして、下腹部の激痛、子宮底の上昇などの症状がみられます。軽症の場合は、少量の性器出血、腹痛・腰痛、おなかの張り感などがみられます。このような症状がある場合は、かかりつけ医を受診しましょう。

 

●前置胎盤
正常な位置よりも低い位置に胎盤が付着し、子宮の出口全体あるいは一部を覆っている状態です。全分娩の0.3~0.5%にみられるといわれています。

 

前置胎盤の場合、出産時に大量出血する恐れがあるので、大量出血への準備をしたうえで、陣痛が来る前に帝王切開する必要があります。

 

前置胎盤の原因は明らかにされていませんが、喫煙や高齢妊娠、経産婦、多胎妊娠(双子以上の妊娠)、過去に帝王切開、人工妊娠中絶・流産手術、子宮の手術の経験がある方に多く見られるといわれています。

 

●癒着胎盤
胎盤の一部または全部が子宮壁と強く癒着して、赤ちゃんが生まれた後、胎盤が自然に娩出されない場合をいいます。前置胎盤のケースに多く、そのほか経産婦、帝王切開や子宮の手術の経験がある場合などに多くみられますが、頻度は0.01~0.02%と非常にまれです。癒着の程度により、子宮壁から剥離できる場合と子宮を摘出しなければならない場合があります。

 

胎盤の状態が赤ちゃんへ与える影響

胎盤が完成する妊娠15~16週を過ぎると、いわゆる「安定期」に入ります。ですが、医学的には「安定期」というものはなく、それまでより流産のリスクが減少する時期といえます。いわゆる「安定期」にはいると、マタニティヨガなどの運動や旅行なども可能ですが、必ずかかりつけ医に相談してからにしましょう。

 

胎盤は、赤ちゃんを育てるという重要な役割を果たしています。胎盤の状態が悪く充分に機能していない状態(胎盤機能不全)に陥ると、おなかの中の赤ちゃんにも影響を及ぼす恐れがあります。

 

妊娠高血圧症候群や喫煙をしている妊婦さんの胎盤は、細かい白い砂のような物質が付着し(石灰沈着)、胎盤の血流を妨げる要因にもなっています。喫煙をしている方は、禁煙するようおすすめします。妊娠高血圧症候群は食生活や体重管理に注意することで予防することも可能です。塩分控えめのバランスのよい食事と適度な運動を心がけましょう。

 

また、前置胎盤からの出血や常位胎盤早期剥離は緊急を要しますので、気になる症状がある場合はかかりつけ医に相談し、指示をあおぎましょう。

 

まとめ

さまざまな働きを持ち、命の源ともいえる胎盤ですが、胎盤を食べる風習がある地域もあるようです。妊娠中、あまり気にかけることのない胎盤ですが、赤ちゃんの成長に欠かすことができません。出産後、胎盤を見せてくれる産院もあるようです。興味のある方は産院のスタッフに聞いてみてはいかがでしょうか。

 

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