
もうすぐ75歳になる私。夫と結婚して50年、山あり谷ありの人生でしたが、今こうして穏やかに金婚式を迎えられることを、心から幸せに感じています。お祝いに夫が予約してくれたのは、少し背伸びした高級フレンチレストラン。特別な1日になるとは思っていましたが、そこで待っていた「サプライズの一皿」に、思わず言葉を失いました――。
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金婚式の席に運ばれてきた、まさかの一皿
当日、落ち着いた雰囲気の高級フレンチレストランに足を踏み入れると、若いウェイターが笑顔で「金婚式と伺っております。本日はおめでとうございます」と迎えてくれました。
その言葉に胸が高鳴る中、夫は少し照れたように笑いながら、「今日は特別な日だからな。楽しみにしていてくれ」と意味深なひと言。
前菜、スープ、魚料理、そしてメインのお肉料理まで、どれも目にも美しく、思わず感嘆の声が漏れるほどでした。コースも終盤に差しかかったころ。先ほどのウェイターが、にこやかな表情で大きなお皿を運んできたのです。
そこに盛られていたのは――まさかの大盛りフライドポテトでした。
思わず目を丸くする私に、夫が静かに笑って「俺たちの人生に、これは欠かせないだろう」と言いました。そのひと言で、50年前の記憶が一気によみがえったのです。
苦しかったあのころを支えていた「味」
新婚当初、夫は会社を辞め、自分の店を持ちたいと夢を語りました。目指したのは、フライドポテトにこだわったファストフード店。当時私は妊娠中でしたが、その夢を信じて支えることを決めました。
しかし味には自信があったものの、経営は思うようにいかず、店は数年で閉店。その後は返済に追われ、夫は朝から晩まで働き、私もパートを掛け持ちする日々が続きました。家族にとってフライドポテトは、苦しかった時代の象徴なのです。








