
私が40代前半のころの出来事です。通院している大学病院での検査が夕方までかかってしまい、帰宅しようと疲れた状態で病院前のタクシー乗り場へ。ところが、いつもは数台待機しているタクシーが、この日は1台も見当たりません。「待つしかないか」と真冬の寒さに耐え続け、心身とも凍てつく中、乗り場にやって来たのは、身も心も溶かす「人の温かさ」でした。
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病院帰りにぼうぜん…いつものタクシー乗り場が空
週末のある日、大学病院での検査が長引き、帰りがすっかり遅くなった私。いつものように、病院のすぐ前にあるタクシー乗り場へ向かうと、待機しているはずのタクシーが見当たらないのです。大通りの方向へ目を凝らして見ましたが、一向に来る気配もありません。
私は看板に記載されていた、いつも利用しているタクシー会社の番号に電話をかけました。10回ほどのコールでやっとつながり、「大学病院まで小型をお願いします」と伝えると、「今、全部出払っているから、しばらくしてからまたかけてください」と言われました。
思い当たるほかのタクシー会社に電話をかけても同じ状況。週末の夕方は、混雑でタクシーがつかまりにくいことを、私はこのとき初めて知ったのです。寒風が吹き乗り場のベンチは冷たく、私は厚めの靴下にすればよかったなと後悔したものの、仕方なく、そのまま待ち続けました。
お人好し?でもドンマイ!諦めずに待ち続ける
ほどなくして、病院の出入り口から、3名のご家族が、タクシー乗り場にやってきました。私は「週末で混んでいて、しばらくタクシー来ないみたいです。どちらまでですか?」と声をかけました。どうやら、自分よりもかなり遠方まで帰るようです。私は男性の切なそうな顔を見て、次にタクシーが来たら、こちらの方たちに譲ろうと決めました。
しばらくして、1台が乗り場に到着。私は「こっちは新幹線に乗れば、わりと近いので、お先にどうぞ」と譲ります。男性は「えっ、それは申し訳ない」と驚きつつも、ほっとした様子で「ありがとう、あなたも気を付けてね」とタクシーに乗り込み、帰っていきました。
私はまた待ちぼうけです。日が落ちて、さすがに体と足は冷え、手もかじかんでいます。「お人好しなことしてしまったなぁ」「今夜は何時に帰れるかな」と、星を眺めながら頭の中で独りごとを言ってしまいました。私は諦めず、各タクシー会社に、かわるがわる電話をかけ続けたのです。








