
私はスーパーマーケットチェーンを運営する会社で、店舗運営を担当しています。当時は本部長に就任して間もなく、まだ直接顔を合わせたことのない店長も少なくありませんでした。報告書や数字だけではわからない現場の状況を確認するため、時々役職を明かさず、本部からの応援スタッフとして店舗の業務に入ることがありました。その日も、ある店舗で売り場の準備を手伝っていた私。そこで気付いたことを店長に伝えたところーー。
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売り場について提案すると一蹴されて
開店前、私は商品の陳列状況を確認しながら、売り場の準備をしていました。事前に確認していた近隣店の価格と比べても、その日、特売対象となっていたレトルトカレーはかなり手ごろな価格でした。しかし、商品は売り場の奥に並べられており、目立つ案内もほとんどありません。
「この商品、もう少しお客さまの目につきやすい場所で紹介してみてはどうでしょうか」
私は店長のB山さんに提案しました。
するとB山さんは、迷惑そうな表情を浮かべて「必要ないよ。目立つ場所に並べなくても売れるから」と一蹴しました。
さらに、私を若い応援スタッフだと思っていたからでしょう。
「応援で来ただけの人に、店のやり方に口を出されたくないんだよね」
そう言うと、私の提案内容を検討する様子もなく、話を終わらせてしまったのです。
もちろん、長くその店舗で働いてきたB山さんだからこそ、売り場についてわかっていることもあるでしょう。それでも、誰が言ったのかということだけで提案を退けてしまう姿勢には、違和感を覚えました。
商品の見せ方を少し変えることで、お客さまが特売商品に気付きやすくなるかもしれません。私は提案そのものについて、一度は検討してほしいと思っていました。
提案を退けた店長から、さらに…
私がそれ以上何も言わずにいると、B山さんは話を打ち切るように言いました。
「今日はエリアマネージャーが来る予定なんだ。余計なことを言ってないで、床掃除でもしてろ!」
「隅々までちゃんとやってくれよ」
私は何も言わず、指示通りに床の掃除を始めました。掃除も店舗を運営する上で欠かせない仕事だからです。
私自身、床掃除を任されたことに不満があったわけではありません。ただ、B山さんは私には終始ぶっきらぼうだった一方、エリアマネージャーを迎える準備については何度も周囲に確認し、落ち着かない様子でした。私への態度とはあまりにも対照的で、その差が気になりました。
その姿を見ながら私は、立場のある人には丁寧に接する一方で、現場スタッフの意見には耳を傾けないのだろうかと考えていました。
現場で働く人が気付いたことを口にしづらい職場では、小さな改善の機会を逃してしまうかもしれません。私は黙々と床を磨きながら、今回この店舗に来た意味は、売り場だけではなく、こうした職場の雰囲気を知ることにもあるのだと感じていました。








