産科医療の未来を開いた医療現場の思いと制度 - ステムセル研究所設立25周年記念 特別インタビュー -

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産科医療の未来を開いた医療現場の思いと制度 - ステムセル研究所設立25周年記念 特別インタビュー -

 

妊産婦と医療機関が安心して分娩に臨めるよう整備された産科医療補償制度。その創設に携わった石渡勇先生に制度誕生の背景と思いを伺いました。

 

 

危機に瀕した産科医療で医療訴訟が激減した理由

産科医療の未来を開いた医療現場の思いと制度 - ステムセル研究所設立25周年記念 特別インタビュー -

ステムセル研究所本社にて

 

磯村実穂(ステムセル研究所/以下:磯村)
本日はご多忙のところご来社頂きありがとうございます。早速ですが、産科医療補償制度が創設された経緯についてお聞かせください。

 

石渡勇先生(以下:石渡) 
分娩にはリスクがあるものですが、妊婦さんやそのご家族のほとんどが「分娩はうまくいって当たり前」ととらえています。そのため、思わぬ結果になると医療訴訟に発展するケースが多かったのです。

 

そこへ過重労働も重なり、産科医も産科医を志す学生も減少し、産科医療は当時、危機を迎えていました。患者さんにとっても分娩トラブルに対する保障や救済がないのは不安ですよね。そこで、医療に過失があれば賠償し、過失がなければ救済するシステムを作ることになったのです。
 

磯村 
2009年に制度が開始されてから、どのような成果がありましたか?

 

 

産科医療の未来を開いた医療現場の思いと制度 - ステムセル研究所設立25周年記念 特別インタビュー -

 

石渡 
一つは医療訴訟が減ったことです。医事紛争や医療訴訟のほとんどは不信感によるもの。思わぬ結果になったとき、患者さん側からは何がどうだったのかが見えにくいため、「医療に過失があったのでは」と考えてしまいます。

 

この制度では、不測の事態が起こった際に、原因分析委員会が原因分析報告書を作成し、その内容を別の委員会がしっかり精査した上で、患者さんと医療側にお渡ししています。医療側と同じ報告書ですから、専門用語の説明も添えています。
 

その結果、患者さんに状況を正しく理解してもらえるようになり、医療に対する不信感が払拭されたことで、2007年に108件あった産婦人科の訴訟件数は約半数に減りました。
 

 

原因調査の徹底で医療の進歩に貢献

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磯村 
現在、分娩機関の99.9%が産科医療補償制度に加入しているそうですね。

 

石渡 
ええ。この制度のもう一つの成果は、補償対象者数分娩による脳性麻痺の発生が減少したことです。2009年に年間419例だったものが2014年には326と22%も減少しました。その後も減っています。

 

産科医療補償制度では開始以来、全事例の原因を調査して報告書を作成するだけでなく、再発防止のための「再発防止に関する報告書」をまとめています。こうして蓄積された知見が日本の医療を良くしたい方々に共有されるようになったことも成果といえるでしょう。
 

もちろん、医療そのものも進歩しています。日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会ではほとんどの地域で実施可能な「産科診療ガイドライン」の作成や周産期医療体制の整備など、医療の底上げをおこなってきました。
 

磯村 
私も以前、大学病院で助産師をしていたのですが、産科診療ガイドラインを見るよう繰り返し指導を受けました。

 

石渡 
ガイドラインは専門の先生による作成委員会で作成後、評価委員が検討をおこない、学会でコンセンサスミーティングを実施するなどして完成します。日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会がガイドラインに責任を持つと明記されております。つまり、それだけ信頼のおける指導というわけです。

 

この産科診療ガイドラインや周産期医療体制の整備にも、産科医療補償制度が作成した原因調査報告書や再発防止に関する報告書が貢献してきました。
 

磯村 
それもすばらしい成果ですね。医療への貢献という点では、さい帯血保管サービスをおこなっている弊社も、さい帯血を通じて再生医療を応援させていただいています。

 

石渡 
さい帯血は、脳性麻痺の症例に対しても一部効果があることがわかってきましたね。私も個人的に期待しています。

 

 

産科医療で今、必要なのは産後うつの対応と産後ケア

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磯村 
産科医療から生まれた助け合いの仕組みとしては、石渡先生が理事を務められている「おぎゃー献金」がありますね。

 

石渡 
産婦人科医・遠矢善栄博士が重症心身障がい児の三姉妹を救おうと、1964年に始まった愛の献金運動です。

 

ステムセル研究所様にもご支援頂いていますが、今も産婦人科に置かれた献金箱や企業からの献金が障がい者施設、心身障がい予防・療育の研究などに役立てられています。
 

磯村 
近年では、産科医療における課題としては、どんなものが挙げられるのでしょうか?
 

石渡 
妊産婦の死亡原因で最多となっているのが自殺です 。子どもの虐待や妊産婦さんの自殺を防ぐためにも産後うつへの対応が重要となっています。そこで日本産婦人科医会では心身の不調や育児不安のある方を専門職がサポートする「産後ケア」に注力しています。

 

また、産科医療補償制度の今後としては、妊娠28週未満の取り扱いをはじめ、補償対象を母体死亡・母体後遺障害にも拡大するかなどを検討する必要があります。こうしたさまざまな取り組みを通じて、今後も妊産婦さんが安心して分娩できる環境づくりを進めていきたいと思っています。

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▼プロフィール
石渡 勇(いしわた いさむ)
公益社団法人日本産婦人科医会 会長
医療法人石渡会 石渡産婦人科病院 院長
日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本臨床細胞学会細胞診専門医。心身障がい児を支援する「おぎゃー献金」の理事長、医師・ジャーナリストら有志による「守れる命を守る会」の代表を務める。18年日本対がん協会賞、20年旭日双光章他受賞。

 

磯村 実穂(いそむら みほ)
株式会社ステムセル研究所
総合企画本部にて、ブランディング統括及び新規事業を担当。大学卒業後、助産師として東京都内の大学病院に勤務。ハイリスク妊婦の看護や分娩介助、新生児看護を経験する。2023年4月より現職。

 

 

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