専業主婦になった私
私たち夫婦は共働きでしたが、次男の妊娠を機に私は退職し、専業主婦になりました。なぜなら夫は仕事柄帰宅が深夜で、ワンオペになる私はワーキングママとして息子2人を育てる自信がなかったからです。
「専業主婦になれば時間に余裕ができるだろう」そう思っていた私は、すぐにその考えは甘かったと思い知らされました。24時間365日、誰にも預けず家事と育児をおこなうのは想像以上に大変。「次男が幼稚園に入園したら自分の時間ができる」と、そのことを楽しみに過ごしていました。
自分の時間を楽しむことができない
次男は3歳になった翌春、幼稚園に入園し、私は平日5時間ほどひとりの時間を過ごすようになりました。入園後、1~2カ月は開放感でいっぱいで、ゆっくり買い物をしたり、友人とランチをしたりと、今までできなかったことをして満喫していました。
しかし、しばらくすると目標を失ったかのような喪失感にとらわれるように……。元来、生真面目な性格の私は、時間に追われるくらいのほうが性に合っていたのでしょう。仕事もせずひとりで家にいると、なぜだか自分が無価値な人間に思えたのです。
死ぬまでにしたいことは何か
ひとりの時間は、自分と向き合う時間でもありました。「私は何がしたいのだろうか……」。ふとそう思い、1冊のノートに「死ぬまでにしたいこと」を思いつく限り、書き出してみました。そして、それを叶えるには、具体的にどうすればいいかも書きました。
例えば、「ホノルルマラソンに参加したい」という内容なら、費用はいくらか、何月に申し込みが始まるかなどを調べ、書き加えます。すると、やるべきことが見える化され、落ち込んでいる時間がもったいないと感じ、とても前向きに過ごせるようになりました。
育児をしていると、どうしても自分のことはおざなりになっていた私。しかしながら、自分と向き合い、どう生きていきたいかを明確にすることは大切なのだと、改めて思いました。私は今、稼業を手伝いつつ、フリーランスとして好きな仕事をしています。これからも、家族との時間を大切にしながら、自分の人生を充実させていきたいと思っています。
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著者:中田りこ
8歳と4歳の兄弟の母。次男は自閉症スペクトラム障害。教育業界を退職後、現在は実家の家業を手伝っている。