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更年期にダイエットをすると老ける!?若々しい人と老けて見える人の違いって?【医師解説】

若いころに比べて疲れやすくなった、なかなかやる気が出ない、肌の衰えが気になる……。『50歳の分岐点 差がつく「思秋期」の過ごし方』が話題の精神科医の和田秀樹先生は、心身ともに揺らぎがちな更年期の時期を「思秋期」と呼んでいます。思秋期に起きる心身の変化について解説をしていただきました。

この記事の監修者
監修者プロファイル

医師和田秀樹先生

1960年大阪市生まれ。東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在は精神科医、ルネクリニック東京院院長、立命館大学生命科学特任教授、川崎幸病院精神科顧問、一橋大学経済学部・東京医科歯科大学非常勤講師。著書にベストセラーの『80歳の壁』(幻冬舎)など多数。高齢者専門の精神科医として30年以上にわたって現場に携わっている。
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思秋期は大人から老人へと変化する時期

――和田先生が提唱している「思秋期」とはどのような意味なのでしょうか?

 

和田先生 子どもは思春期を経て大人になり、大人は思秋期を経て老人になっていきます。

 

思春期は子どもから大人への通過点です。男性は男性ホルモン、女性は女性ホルモンの分泌が増大し、生殖が可能な男らしい体つき、女らしい体つきへと変化していきます。また、脳も発達して物事に関する興味や好奇心などが高まっていきます。体も脳も大人へと移り変わっていくのが思春期です。

 

一方、思秋期は大人から老人へと変化していく時期です。年齢でいえば40歳から60歳あたりの更年期の年代に訪れます。思秋期になると、自分の性とは反対の性ホルモンの分泌が増えていきます。男性であれば男性ホルモンが減って女性ホルモンの影響が増し、女性は女性ホルモンが減って男性ホルモンの影響が増すということです。年を取るとは、このようにして中性に近づいていく過程でもあります。

 

――和田先生はなぜ、今、「思秋期」を提唱されているのでしょうか?

 

和田先生 かつては更年期が終わってから命が尽きるまでの時間はそう長いものではありませんでした。しかし、日本人の平均寿命は延びています。更年期の後も20年、30年と生きる可能性があるとすれば、思秋期のうちから自分がどんな老人になっていくかを考えていたほうがいいと思うんです。そうした思秋期を過ごすことで、老いを遠ざけ、老後を健やかに生きられると私は考えています。

 

「若々しくいたい」と思うことが若さにつながる

お茶を飲むイメージ

 

――思秋期の年代になると、同じ年齢でも若々しく見える人もいれば老けて見える人もいます。その違いはどのようなところにあるのでしょうか?

 

和田先生 一つは「若々しくいたい」という意欲を持っているかどうかです。

 

思秋期のころに始まる老化の一つに「前頭葉の委縮」があります。前頭葉は大脳の前方に位置する部分で、思考や意欲、感情、性格、理性などをつかさどっています。衰えを放っておくと前頭葉はどんどん老化して、意欲や好奇心などが衰えていきます

 

「若々しくいたい」という意欲があれば、それにつながる新しいことを試してみることもあるでしょう。そうして前頭葉を刺激することは、衰えを防ぐために非常に有効です。

 

また、若々しさには肌の状態を保ち、シワが目立たないようにすることも大切です。

 

――そのためには、どのようなことを意識すればいいのでしょうか。

 

和田先生 思秋期やそれ以降の年代で若々しく見える方というのは、どちらかというとぽっちゃりしている人が多いんです。そのために必要なのが栄養です。

 

例えば、筋肉や皮膚を作る材料となるたんぱく質をしっかり摂取しないと肌にハリは生まれません。昨今は脂肪が忌み嫌われていますが、脂肪も体に必要な栄養の一つで、足りないとカサついて老け込んだ容姿になってしまいます。

 

 

太り気味の人のほうが長生きをする

太り気味の人イメージ

 

――栄養の大切さは実感しつつも、更年期になると体形が気になってしまいます。

 

和田先生 「中年太り」という言葉があるように、ダイエットを心がけている思秋期世代は多いものです。2006年ごろから「メタボ」という言葉が使われるようになり、今ではすっかり定着してメタボ健診がおこなわれるようになりました。

 

実際、厚生労働省のホームページには、メタボになると心臓病や脳卒中のリスクが高くなる旨が書かれています。こうした理由から、見た目に加えて健康上の理由からもダイエットを意識している人はかなりの数にのぼるでしょう。

 

しかし、実はこれを覆す統計データが厚生労働省によって発表されています。宮城県の40歳以上の住民約5万人を対象に、12年間にわたって「体形別の平均余命」を調べたところ、一番平均余命が長かったのは40歳の時点で太り気味だった人なのです。

 

――ということは、無理にダイエットをする必要はないということでしょうか?

 

和田先生 私はダイエットをすると老けると考えます。なぜかというと、必要な栄養を十分に摂取することができないからです。

 

例えば、一般的には高めの血圧やコレステロール値はよくないといわれています。でも、私がこれまで医師として多くの患者さんを診てきた経験からいうと、血圧はやや高めのほうが頭がさえる方が多い。年齢とともに動脈の壁はどうしても厚くなりますから、血圧が高いほうが脳に酸素が送られやすいんです。

 

また、コレステロールの大半は体内で作られるので意外と食事の影響を受けないんです。コレステロールはホルモンや神経伝達物質の材料となったり、血管の弾力性を上げたりする働きがあり、体に欠かせない成分です。

 

私個人としては、メタボ対策で食べたいものを我慢してストレスをためるよりは、好きなものを食べて充足した気持ちでいることのほうが健康面では重要なのではないかと思っています。

 

※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。

 

<著書>

 

『差がつく「思秋期」の過ごし方 50歳の分岐点』和田秀樹著 大和書房/1300円+税

 

『50歳の分岐点 差がつく「思秋期」の過ごし方』和田秀樹著 大和書房/1300円+税

 

 

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取材・文/熊谷あづさ

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