
父が体調を崩したことをきっかけに、僕は父が経営している会社を引き継いで社長に就任しました。まだ取引先へのあいさつを始めたばかりのころ、長年付き合いのある会社の懇親会に、秘書のB美と一緒に参加することになったのですが……。
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懇親会で出会ったA男
会場であいさつ回りをしていると、取引先の社長の息子・A男と顔を合わせました。将来は会社を継ぐ予定らしく、周囲の社員からも持ち上げられているようです。
僕が「今後ともよろしくお願いします」と名刺を差し出すと、A男は「どうも」と言いながら、ろくに目も通さず受け取りました。
するとその直後、A男は僕に渡そうとした自分の名刺が古いものだったことに気づき、新しい名刺と交換。A男は「古いものはもういらないな」と言って、古い名刺を破ろうとしたのですが……手元にあった僕の名刺が重なっていることに気づかず、そのまま一緒に破ってしまったのです。
名刺が破られてしまい…
A男は悪びれる様子もなく、「あ、やべっ……すみませんね。まあ、あなたもそのうち昇格したら、この名刺も使わなくなるでしょう」とヘラヘラ笑っています。
さらには「おたくの会社、最近社長さんが変わったんでしたっけ? 取引先としてはちょっと不安になりますよねえ。『この会社、ちゃんと今後も運営できるのかな?』って」と告げたのです。
すると、隣にいた秘書のB美が静かに尋ねました。
「失礼ですが……名刺、ちゃんと見ましたか?」
A男が破れた名刺を確認すると、そこには僕が代表取締役であることが記されていました。
「えっ……社長?」







