豹変した妻と義母
そんな光景を見ていた妻と義母は、事情を聞いて驚いていました。
「えっ、この旅館ってあなたの実家なの?」
「しかも、あなたが跡取りだったなんて…!」
さっきまで見下していたとは思えないほど、2人は急に笑顔になりました。
義母は、「旅館を継ぐってことよね? 今までのことは水に流してよ。私たちも旅館を手伝うから!」と言っていて……。露骨に態度を変える2人を見て、僕の気持ちは完全に冷めていきました。
僕が「今さら、もう無理だよ。離婚しよう」と言うと、妻は顔色を変えて叫びました。
「跡取りなら将来は安泰でしょ? 離婚なんて絶対に嫌!」
すると、義母まで「跡取りならお金はあるんでしょ!? 離婚するなら慰謝料としてたっぷり払ってもらう!」と騒ぎ始めました。
しかし、2人には両親や従業員たちの冷ややかな視線が突き刺さっていて……。居心地の悪さに耐えられなくなった妻は、慌てて義母の腕をつかむと、その場から逃げるように旅館を後にしました。
過去と向き合うことにした僕
その後、僕は妻と正式に離婚し、勤めていた会社も退職しました。
そして、再び両親のもとへ向かい「もう逃げない。1から下働きとして修業させてください」と深く頭を下げてお願いしました。僕の行動に両親は静かにうなずいてくれて……。僕を迎え入れてくれました。
それからの毎日は掃除や布団敷き、料理の仕込み、接客など、地道な仕事の連続でした。失敗して落ち込む日もありましたが、従業員の皆さんは根気よく支えてくれました。
少しずつ仕事を覚え、お客さんから「ありがとう」と声をかけてもらえるたび、この旅館をもう1度守りたいという思いが強くなっていきました。そばには、変わらず応援してくれる幼なじみの姿もありました。
逃げ出したという過去は変えられないと思います。それでも、過去から目を背けず、1歩ずつ前へ進めば、人はやり直すことができると感じています。僕は、今日もこの旅館で、新しい人生を歩み続けています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
★関連記事:「奥の個室で待ってる♡」彼氏から誤爆メッセージが!⇒胸騒ぎがして店へ向かうと隣にいたのは!? #婚約者の浮気 1







