高額な修理が必要になり…!?
その日はひとまずホテルへ移動し、その後、僕たちは当面の住まいを確保しました。妻から「本当に譲るつもりなの?」と心配そうに尋ねられ、僕は「まずは、あの家を維持する大変さを知ってもらおう」と答えました。
実は、あの家は気楽に住める家ではありません。古い別荘を改装したため、庭木の手入れや設備の点検にお金がかかります。空調や水回りも古く、いつ大きな修理が必要になってもおかしくありません。
最初のうち、A美からは「広い家って最高」「友だちにもうらやましがられた」と得意げな連絡が届いていました。しかし、やがて維持費への愚痴が増えていったのです。そして数カ月後、給湯設備の交換のため、まとまった修理費が必要だと判明。その夜、A美から何度も電話がかかってきました。
「こんなにお金がかかるなんて聞いてない! まだお兄ちゃんの家なんだから払ってよ!」
「負担できないなら、譲る話はなしだ。約束どおり家を出てもらうよ」
僕がきっぱり告げると、A美は「そんなのひどい!」と声を荒らげました。しかし、書面には負担が難しくなった場合は退去するという条件を明記していたのです。
家を手放すことに
話し合いの末、A美夫婦は家を維持できないと認め、引っ越すことに。家を出る日、A美は気まずそうに謝りました。
「勝手に住み始めてごめん。家って、維持するのにこんなにお金がかかるんだね」
「まあね。もう二度と、人の家を自分のものみたいに扱わないでほしい」
僕たち夫婦も、帰国後はあの家で暮らすつもりでした。しかし、今回の出来事をきっかけに、古い家を持ち続けることが、今の僕たちに本当に合っているのか考えるようになったのです。妻と話し合った結果、家は売却することに。人気の別荘地にあったこともあり、ほどなく買い手が見つかりました。
今は妻と新しい住まいで、僕たちに合った暮らしを始めています。
家は、住みたいと言うだけで手に入るものではありません。維持する責任まで背負ってこそ、自分の家になるのだと感じた出来事でした。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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