離婚なんてしない!
私は泣きながら文字を打ちました。「こっちは結婚したときに一生添い遂げるって決めている! 勝手に私の幸せを決めないで!」
強情な夫も、「一緒に闘病する。あなたが元気にならなきゃ離婚なんて絶対してやらない!」と断言した私の覚悟を感じ、最後には「お前のそういうところにほれたんだった……」と折れたのです。
私はすぐに病院に向かい、祝いそびれた5回目の結婚記念日パーティを病室で開きました。
それから約半年後。医師たちの治療もむなしく、夫は帰らぬ人となりました。彼は最期まで、病室でおこなった結婚記念日の話を楽しそうにしていました。穏やかな表情で、離婚しないでくれてありがとうと言ってくれたのを覚えています。
もしあのとき離婚していたら、夫の最期に立ち会えなかったのかと想像するとゾッとします。彼がいなくなって本当に悲しいけれど、いつか私が同じところに行ったとき、また一緒に結婚記念日を祝えたらいいな、と思っています。
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人が変わったような夫の言動にはビックリでしたが、実は理由があったのですね。それも妻のためのやさしさにあふれた理由が……。真実を知った妻が迷わず決めた覚悟の裏にはいろいろな葛藤があったと思います。改めて思いを伝え合った2人は、たとえ限られた時間でも、幸せに過ごせたのではないでしょうか。








