婚約者の本性露呈
ちょうどそのとき、隣の控室から大きな笑い声が。どうやらマミさんのようです。廊下に出てみると、隣室の扉が少しだけ開いていて、中にいたのはやはり彼女とその親族。私がノックしようとすると……。
「息子は優良物件なんだけど~。母親だけ中卒の低学歴で、身内になるなんて恥だよ~。おまけにパートなんかしていて……」
話している内容は明らかに私のこと。ぼう然と立ち尽くす私に気付かず、彼女はペラペラと話し続けています。
「ちょっと愚痴ったら、式当日なのに喧嘩になって。相手が機嫌悪くしてうざいから、目キラつかせてウソ泣きして、めっちゃ謝ってなんとかなった。危ねー」
聞いている親族もニヤニヤ笑っていました。頭にきた私が中に飛び込もうとすると……。後ろから長男が扉を勢い良く開けて言い放ちました。
「泣いて謝ったから一度は許そうと思ったけど……そういうことだったんだね」
学歴マウント返し!
慌てふためくマミさんに、長男が低い声で宣言しました。
「親族を悪く言う人とは結婚できない」
マミさんは逆ギレし、「低学歴の母親をかばって、私みたいないい女を逃すつもり?」と叫んだのですが、ちょうどそのとき、新婦側で招待されていた外国人の参列者が私に気付いて声をかけてきました。
実は私、留学生寮を管理していた関係で海外のTV番組に取り上げられ、「日本の肝っ玉母さん」として知られていたのです。日本語や勉強を教えて面倒を見てあげた外国人の中には、名高い企業家になった方も。今もやりとりしている元寮生もたくさんいるのです。
「母は進学こそしなかったけど、生きた現場で英語を習得した。もともと頭の良い人なんだ。自分たち兄弟は4人とも国内外屈指の大学卒で、これも母さんが教育熱心だったおかげだよ」
学歴主義の新婦側に学歴マウント返しをする長男……。やさし過ぎて強くは言えない性格だと心配していましたが、やるときはやる立派な大人に育ってくれていました。








