母が抱いた違和感
「ほら、あのサトウさん。外で出くわしても質問攻めにしなくなったんだよ」
それはよかったと私たちは相づちを打ちました。しかし、「何も聞かないけどウチの様子がわかっているみたい」なのだとか。聞けば、父が夜半に帰ってきて居間で寝たことや黒い虫が出たことなど、家の中のことを全部知っていたと言います。
これは嫌な予感……。私は、「2人とも静かに!」と指を口に当ててリビングを探すことに。数分後、テレビの横のコンセントに見覚えのないタコ足タップを発見したのです。十中八九、盗聴器でしょう。驚いた私は声を押し殺し、仕掛けられた盗聴器を父母に見せて筆談で相談しました。
憤慨し、「今すぐ警察に届け出る」と書きなぐった父。しかし母の返事は、「このまま盗聴され続けるわよ」。「えっ?」と目が点になった私たちに向かって、母はあるプランを提案したのです。
逆襲を決行
まさかの盗聴器発見から数日後。のんびり家族団らんをしていた私たちのところに、「現行犯逮捕だ!」と警官が飛び込んできました。後からサトウさんも付いてきて、「ここに犯罪者が!」とわめいています。ところが、あくまで平和そのもののわが家を見て、2人は面食らった様子です。
「この家の母娘が共謀して、不倫した夫を亡き者にし、隠ぺいしようとしているって通報が……」と目を丸くする警官に、父は笑って答えます。「俺はピンピンしているし、不倫なんてめっそうもない! 俺は母さんひと筋。なんでウチで犯罪が起きたなんて話が行ったのですか?」
母がジロリとサトウさんを見ると、明らかにうろたえています。私は言ってやりました。
「この間あなたが来たときに盗聴器を仕掛けたことはバレています。盗聴だけでは罪に問えないらしいから、3人でお芝居を打ったの。バッチリ聞いてくれていたんですね」
「芝居!?」と慌てるサトウさんでしたが、勝手に盗聴して勝手に通報したのは彼女のほうです。「犯罪者扱いされたこと、名誉棄損で訴えますよ」と言うと震えだしました。








