甘酸っぱい思い出の相手は…
妻が、他の旅館にも開発業者と結託していたことを話すと告げると、幼なじみは、歯ぎしりしながら退散していきました。私は、古い記憶がよみがえりつつあるのを感じながら、妻に聞いてみました。
「あの……初恋の場所っていうのは? 君はこの街に来たことがあるの?」
「やっぱり気付いていなかった? 私は小学生のころ、1年間だけここに住んでいたの。あなたと遊んだこともあるわ」
顔も名前もすっかり忘れてしまっていたけれど……。甘酸っぱい思い出の相手は、なんと彼女だったのです。妻は、思い出の温泉地のピンチを聞きつけ、旅館を助けるため親に相談したのだとか。しかし、再会してみれば当の私は昔のことを覚えておらず、他に婚約者がいると言われて落胆したのだそう。
すべてを思い出した私は、彼女に謝罪と感謝の意を告げました。そして、淡い恋心が復活してきたのを感じたのです。
その後、ウチの旅館の経営は右肩上がりに。開発業者に売り渡していなかった旅館とも協力し、全員でこの温泉街を盛り上げていく計画も始動。これからは妻と本当の夫婦になって、一緒に地元を守っていきたいと思っています。
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旅館再建のための政略結婚かと思いきや、初恋の相手同士だったとは……すてきなお話ですね。開発業者と手を組んで温泉街ごとつぶそうとしていた幼なじみのたくらみを見破ることもでき、一件落着ですね。








