次の依頼で横暴さがUP
しばらくしてまた2代目社長から依頼がありました。例のごとく、打ち合わせですでに無茶振りばかりです。しかし前回ひどい目にあったので、後から納期を変更されないようこちらも念押しするように。それが功を奏したのか、作業に入ってからは文句を言われず、スムーズに作業を進められました。
ところが、数週間が過ぎたころ……。突然2代目社長から着信が! 嫌な予感がした私がおそるおそるスピーカーモードにして電話に出ると、めちゃくちゃなことを言ってきたのです。
「もっと安い業者が見つかったから、この間の注文はキャンセルね! あんたのところは企業努力が足りねぇんじゃね?」と……。これはあまりにも横暴です。今まで建設した分の材料費や人件費だってあるのに、「まだ完成していないんだから、1円も払わない」とせせら笑っています。
「現場は次の業者が来るから、きれいに片付けておけよ!」とすでに決定事項のよう。私が困った顔をして隣にいた母を見ると、小さい声で大丈夫と言ってきました。何やら考えがあるようです。一見穏やかそうで実は怒り心頭の母に背中を押されて、我慢の限界だった私は宣言しました。
「承知しました! それでは、ご希望通りすべて白紙に戻します」
彼との電話を切った後、母は私に耳打ちしたのです。「私にいい考えがあるの」
ベテラン社員の母の逆襲
母は早速計画に着手。まず、わが社の社長に事情を説明し、今回の案件が白紙になったことを伝えました。社長も驚いてはいたものの、先方の2代目についてはいろいろウワサを聞いていた様子。母を信頼していることもあって、すべて任せてくれたのです。
数日後、わが社の現場撤収最終日になりました。いつものニヤけ顔で登場した2代目に、私は「きれいになった」現場を披露してやりました。
「言われた通りにしましたよ!」「えっ……?」
彼は絶句。無理もありません、建設予定だった敷地内はすべて更地になっているのですから。「途中までの作業代を払っていただけないなら、弊社も未完成品を残しておくわけにはいきません。別の業者が安く作ってくれるんでしょう?」
逆ギレしている2代目。わが社に半分まで作らせてキャンセルし、残りは別の業者に半額で建設させるつもりだったようです。そんな愚行がまかり通るはずがない! さらに、母がベテラン社員の貫禄で言い渡しました。
「ちなみに、キャンセル料はお支払いください。途中までの建設分に関する取り決めはなくても、一方的なキャンセルの際は全額支払っていただくという契約はあります」








