事件勃発⇒リストラ宣言
そうこうするうちに数カ月が経過。例の学歴主義の高飛車部長による事件が勃発したのです。
日に日に社員が少なくなっていく会社で、何本もかかってくる電話の応対に四苦八苦していたある日。いつもは見て見ぬふりの新部長が、何の気まぐれか電話に出たのはよかったのですが……。
「はあ? 来週のプロジェクト? 話がわかりにくいわね、あなた最終学歴は? 高卒? こんな社員がいる会社は大したことがないわ。うちとの取引は今後なしで結構です」
なんと、電話口で取引先の担当者にこんな暴言を吐いたのです……。近くのデスクで別の電話に出ていた私はビックリ仰天。慌てて電話を切り、「なんてことを! 取引先との信頼関係が壊れたらどうするんですか? そもそも社会人としてあんな応対あり得ません!」と駆けつけると……。
「何あんた、上司の私にそんなことを言って許されるでも? これはもう解雇ね。社長も承諾するに決まっているから、荷物をまとめておきなさい」と、突然リストラ宣言されてしまったのです。
できれば弁護士に相談して、訴えたい……。でもそんなことをしたら内情が外部に知れ渡り、前社長が大事にしていた会社の評判が下がって倒産しちゃうかも……。そんな気持ちの狭間で揺れ動いていました。
逆襲スタート!
その日の夜、私は父に解雇宣言されたことを相談しました。その結果、ある計画が浮かび上がってきたのです。この計画通りになれば、前社長の会社も守れそう……。それから私は解雇を受け入れ、すぐに父の会社に再就職し、今まで以上に気合いを入れて仕事していました。
数週間後……。今や元の勤め先となった前会社の新社長が、父の会社まで押しかけてきたのです。なんとあの部長も一緒。事務所で私を見つけると、その場で土下座し始めました。
「お願い、戻ってきてくれませんか。あなたがうちの大口取引をいくつも担当しているなんて、私も社長も知らなくて……。取引先から次々と、あなたがいないなら契約解除って言われているの……」
「しかも、他の社員たちがそろって退職願を出してきたんだ……。これじゃ会社が回らない!」
そうなんです。実は、前職でお世話になっていた取引先の担当者の方から、「新しいお勤め先の会社とお取引させてください」と次々連絡が来ているのです。さらに、退職願を出したという同僚たちも全員こちらの会社に再就職する予定。計画通り、2人を窮地に追い込むことに成功したのです。
泣き崩れる彼らを前に、父が言いました。「君たち、このままでは会社を存続させるなんて無理だろう? ここは1つ、俺に会社を任せてはもらえないか? 娘が世話になった前社長の恩は忘れない。俺が社員ごとしっかり引き受けて、経営を立て直すよ」
自分たちに会社経営の手腕も周囲からの信頼もないと悟った2人は、泣く泣くうなずいたのでした。








