
昔から私は、できの良い弟と比べては暴言を投げてくる母親にいつも邪険にされてきました。やさしかった父は早くに他界し、家にいる大人は母だけ。できる限り、学歴主義の母の望みに沿うよう努力してきましたが、大学入試で失敗すると家を出ていけと言われたのです。
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高校卒業直前に!?
高校の卒業式を前にしたある日。私は、母から突然宣言されました。「あんたは今日中にこの家から出ていきなさい」
私は驚きましたが、それでも思い当たる節がありました。「それってもしかして、母さんが指定していた大学に落ちたから……?」
「そうよ。勝手に滑り止めの三流大学に入学を決めて負け犬人生を自分で選んだんだから、もう私や弟には関わらないで。あんたみたいなできそこないの息子はいらないわ」
いきなり家を追い出されることに怒りを覚えながらも、他方では「この鬼母と縁を切って自立できるならいいや」と、どこかで諦観した私。ただ、気がかりは弟のことでした。
「わかった、俺は出ていく。でもあいつには母さんの理想ばかり押し付けないで。弟だって1人の人間なんだ」
「あの子はあんたとは違って天才なの! 勝ち組人生を突き進むのよ」
聞く耳持たずの母を前に、もう言うことは何もありません。私は、「もう二度と会うことがないよう祈っているよ」という最後の言葉を残して、実家を出たのでした。
5年後…
あれから5年後。私は、大学入学を機に1人暮らしをしていた弟が、とある一流商社から内定をもらったということを聞きました。実はあの鬼母には内緒で、こっそり連絡を取り合っていたのです。離れても、私にとってはかわいい弟。あの母親に育てられたとは思えないほど素直で偉ぶることもなく、ずっと兄の私を慕ってくれていたのです。
ということで、その日は彼の内定祝い。久々に再会し、2人で食事をしていたとき、弟の携帯に母から何通もメッセージが届きました。内定のことを知り、早く実家に顔を出せと催促している様子です。
「一流商社に就職なんて、やっぱりあなたは天才ね!」
「消えたアホ長男とは大違い」
「は?母さん何も知らないの?」
「え?」
ため息をついて私に画面を見せた弟。「あの人、兄さんのことまだこんなふうに……こうなったらもう言ってやる! いいだろ、兄さん?」。そう息巻く弟は、私が返事をする間もなくすでに返信していました。
「今兄さんがどれだけ成功していると思うのさ」








