知らなかった真実
そして、義母が絶叫したのです。「私が車椅子生活になった原因は、あんたのせいなんだから!」
聞けば、こっそり葬儀にやって来たA子が、あろうことか香典を盗んで逃げたのだとか。「葬儀会場から夢中であんたを追いかけて……。急に飛び出したから事故に遭って。それで運ばれた病院の院長夫妻が、このお嫁さんのご両親だよ!」
そうなんです。私の両親は病院経営者なのですが、義母のあのときの事故にそんな事情があったなんて知りませんでした。
「私は看護師だった彼女とご両親のおかげで、一命を取り留めたのよ。毎日見舞いに来てくれた息子と結ばれるとは思ってもいなかったけれど」
夫が義母の言葉を引き継ぎました。「それだけじゃない。結婚後、母さんの面倒を見るために在宅ワーカーに転身して、今は在宅で病院の経理も一手に引き受けている。でき過ぎた妻だよ」
相続権を主張する義姉
「看護師としてバリバリ働けるっていうのに、私のために……」。義母はそう言うと涙を流しました。
「お義母さん、気にしないでください。私がそうしたいと思っているんですから……」
「はいはい、お涙ちょうだいはいいからさ。この家に同居は諦めてあげるけど、パパの遺産の遺留分があるわよね? 私は長女なんだから、受け取る権利があるはずよ!」
それでも横暴なことを言うA子に、夫は1枚の書類を取り出して冷静に宣言しました。
「姉さんの盗んだ香典や、これまでの散財分、父さんが借金返済を肩代わりした分、全部を計算して、遺留分は相殺された」
突きつけた書類には、これまでのA子の悪行が金額になって示されていたのです。








