
女性が妊娠・出産する上で、重要な役割を果たす月経(生理)。10~15歳ごろに初潮を迎えた後は、閉経まで毎月あるのが当たり前だと思っていませんか? しかし、実際には40歳より前に生理がなくなる“早発閉経”を発症する方もいるのです。将来的に妊娠を希望するのであれば、早発閉経を「ただの生理不順」と放っておくのは危険かもしれません。そこで今回は、早発閉経が起こる原因や診断の流れ、治療法などについて、沢岻美奈子女性医療クリニック院長・沢岻美奈子先生にお話を伺いました。
教えてくれたのは…
監修/沢岻美奈子先生(沢岻美奈子 女性医療クリニック院長)
医療法人社団 沢岻美奈子女性医療クリニック理事長。産婦人科医。
2013年より神戸で婦人科クリニックを開業。女性検診や更年期を中心に女性のヘルスケア領域に長く従事。2025年9月には、恵比寿に婦人科・美容皮膚科Takushi clinicを開業。更年期ドックでの女性特有の健康評価から治療までを、経験豊富な産婦人科女医がワンストップで提供。心身の不調が特徴な更年期の揺らぎ世代を対象に、“女性医療コーチング”という新スタイルで全人的なサポートをおこなっている。また、Instagram(@takumina _clinic)や、podcast「女性と更年期の話」、YouTubeチャンネル「8時だヨ 更年期全員集合」などを通じ、幅広く情報発信をおこなっている。
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早発閉経とは?
早発閉経(早発卵巣不全)とは、40歳より前に卵巣機能が低下し、生理が3カ月以上停止する状態のこと。不規則な生活習慣や乱れた食生活などでホルモンバランスが乱れれば、20代や30代などの若い年齢でも起こる可能性はあります。このように“生理が3カ月以上止まっている状態”は定義上、早発閉経に含まれますが、若くして閉経状態になったときは早発閉経と診断するのではなく、生理不順として治療を進める場合もあります。
【早発閉経の主な症状】
- 生理不順(生理の間隔が空いたり1カ月の間に何度も生理が来たりする状態)
- 無月経(生理が3カ月以上止まっている状態)
- ホットフラッシュ(更年期障害の代表的な症状の1つで、突然の発汗や体のほてり、動悸などが特徴)や寝汗、気分の変動
- 骨密度や認知機能の低下など
早発閉経は、基本的に更年期と同じような症状が出現します。排卵がない・あっても低頻度のため、不妊症につながることも。妊娠を希望している場合は、生理周期が乱れているなどの兆候があれば、早めに月経トラブルや更年期治療に対応している婦人科へ相談しましょう。
早期閉経とは何が違うの?
早発閉経と似た言葉に「早期閉経」があります。早期閉経とは、一般的な年齢より少し前に閉経を迎えることです。一般的な閉経年齢は50歳前後と考えられているため、だいたい45歳より前に生理がなくなると、診断的には早期閉経と呼びます。
しかし、早発閉経も早期閉経も、卵巣機能が低下して生理が停止するという意味では大きな違いはありません。実際の診療では、年齢や妊娠を希望しているかなど、患者さん一人ひとりに合わせた治療がおこなわれています。
早発閉経の主な原因

早発閉経が起こるのは、いくつか要因があると考えられています。
- 性染色体異常:ターナー症候群(女性にのみ発生する先天性の染色体異常による疾患)などの染色体が関与する疾患。
- 遺伝:家族に早発閉経の例がある場合、リスクが高まる可能性がある。
- 自己免疫性疾患:甲状腺炎(甲状腺に炎症が生じる疾患の総称で、感染や自己免疫異常など複数の原因によって起こる)や重症筋無力症(神経と筋肉の接合部における信号伝達障害によって引き起こされる自己免疫疾患)など。
- 医原性:化学療法や放射線療法によるがん治療、卵巣切除などの既往歴がある。
- ストレスや生活習慣:喫煙や不規則な生活習慣、栄養不良、過度のストレスなど。
- その他:原因不明(明確な原因が特定されないケース)。
このように、さまざまな要因が卵巣機能に影響を与える可能性があると考えられています。しかし、原因が特定されないケースも少なくありません。自己免疫性疾患やがん治療などの既往歴がなくても卵巣機能は衰えてしまうことがあるため、注意が必要です。








