暴走の果てに…
プロジェクトの開始まで、残り2週間。私は改めてA山を会議室に呼び出し、進捗を確認しました。
「どこまでできたか見せて」と尋ねると、しぶしぶパソコンを見せてくれたのですが……。導入のみで、重要な本題はまったくの手つかず。「全然終わっていないじゃない! 今まで何をしていたの?」と思わず声を荒らげてしまいました。
「だって、大量の調べ物に資料のまとめ、データ集計が重なって……。でも俺なら、2週間あれば何とかなるはず……」と言うA山。どう仕上げるつもりか問いただすと、しどろもどろです。あれほど自信満々だったのに、この体たらくは何でしょう。
私たちは、A山の無責任な自信の下に、どれほどのリスクが隠れていたかを目の当たりにしました。
「A山さん。自分だけでできないと思ったら、助けを求めなさいよね?」「そんなの…俺のプライドが……」
「あなたのプライドなんてどうでもいい! 万が一、このプロジェクトがとん挫したらどうするの? 会社にも膨大な損失が発生して、信頼を失うのよ! だからチームで働くの。この意味、わかった?」
ついに露呈
しかしA山はまだ言い張りました。「もう少し時間があれば、俺ひとりでうまくやれるんだ!」
すると、そこにモップを持った掃除のおじさんが登場し、「うまくいくわけなかろうが!」と一喝したのです。A山は仰天。「掃除のおじさん……。ここは会議をするところだろ、さっさと出ていって……」
「何を言う。君に任せていたら、プロジェクトが失敗しそうなんだろ? 私の会社でまぬけな失敗など許さんぞ!」「お祖父ちゃん、心配しないで。ちゃんと私がフォローするから……」
「私の会社!? おじいちゃん!?」と、さらに目を白黒させるA山に、私は説明しました。
「彼は私の祖父で、この会社の創設者。10年前に引退して、清掃員をしながら職場を見守っているの。知らない人も多いけどね」








