余計なことは言うな!?
それから数日間。A子さんの介護力の高さには利用者も満足しており、安心した様子で介護を受けている様子。私は、彼女は感情表現が苦手なだけで、根は真面目で良い人なんだと確信しました。
折を見て、「どうして最初に介護の経験があるって言わなかったんですか?」と聞いたところ、A子さんの口から、「余計なことは言うなと言われていて……」と衝撃の返事が。
どうやらA子さんの夫はかなりの亭主関白で、家事や育児を彼女に押し付け、「お前が面倒を見ろ」と義母の介護までやらせていたのです。義母が亡くなると、「ただ飯食いは許さん、働きに出ろ!」と言われ、半ば無理やりだったのだとか。
長年、夫から高圧的に接されていたことでA子さんは今のような性格になり、他人とじょうずにコミュニケーションができなかったのです。
そして彼女にすべてを押し付けた夫は、A子さんが働き出した途端に仕事を辞め、なんとギャンブル三昧だと言います。
うちの夫はおかしい?
A子さんの話を聞いた私には、自分のことのように怒りが湧いてきて、「離婚は考えたことがないんですか?」と思わず聞いてしまいました。
しかし彼女は、「離婚なんて切り出したらどう扱われるかわからないし……。もう年だからね」と諦めている様子。私は声を張り上げてしまいました。
「そんなのおかしい! あなたはあなたの人生を生きなくちゃ、まだまだこれからですよ」
それから1週間後……。私の元に、A子さんから弁護士を紹介してほしいとの相談が。知り合いに離婚案件に強い弁護士がいたため、私はその人を紹介してあげました。
聞けば、A子さんの夫はギャンブルで借金を作っていたらしく、督促状が家に届いたのだとか。それを見て私に言われたことを考え、夫のおかしさに気付き、ついに離婚する決意をしたのだそうです。








