天ぷらを作ったのは誰?
そんなある日、A男の妻でもある若女将が、女将と一緒に天ぷらの入った竹かごを持って厨房へと来ました。そして「この天ぷらを作ったのは、どなたですか?」と焦った様子。
どうしたのかと思っていると……。なんと天ぷらを揚げる温度が低かったのか、べチャッとしていたそう。
その言葉を聞き、厨房にいた料理人たちはA男に視線を送りました。そう、何を隠そう天ぷらを揚げていたのは彼なのです。
この日は開店時から忙しく、女将がしょっちゅう厨房に出入りしていたのでA男もサボるにサボれず。副料理長がA男に天ぷら作りをお願いしていたのです。
女将は料理人たちの視線がA男に向いていたため事態を察し、息子に謝罪に行くように厳命。しかし次の瞬間、A男は私を見てとんでもないことを口走ったのです。
犯人は私!?
「天ぷらを作っていたのは俺じゃない。あの見習いのオバサンだ」
しかし、当然ながらその言葉は矛盾だらけ。見習いの私がお客様に提供する料理を作るはずがないのですから。にもかかわらず、私がやったと言い続けるA男に、周囲もあきれるばかり。
A男は一向に自分のミスを認めません。このままでは料理の提供が止まってしまい、またクレームが入ってしまうと危惧した私は、ひとまず自分が謝罪に行くことで場を収めることにしました。
幸い、お客様は理解ある方で、事態は大きくならずに済みました。しかし、A男の態度には我慢の限界です。女将にこれまでのことをすべて話すと、なんと私に頭を下げてくれたのです。
翌日、仕事に向かった私を見たA男は、「お前はクビ!あんたのせいでクレームが入った」とまだ難癖をつけてきました。
どう反論しようかと私が考えあぐねていたとき……。厨房に女将が登場しました。








