実は事故に遭う前まで…
私とA男を見た女将は、唐突に、「それぞれ料理を作りなさい」と言いました。そしてそれを従業員で味見すると言い、私たちの様子をじっと見ていました。
女将の考えが理解できなかったものの、言われた通りに料理を作った私。昔働いていたころの知識や技術と、コツコツこの料亭で訓練してきた経験を総動員しました。そこへ出勤してきた従業員たちが、女将に言われて私たちの料理を味見することに。
すると、副料理長をはじめ、従業員も私の料理を大絶賛してくれたのです。それだけではありません、あの厳しい女将も、A男の妻の若女将も、「見習いだなんてウソですよね。どう考えても、あなたには料理の経験がある」とうなずいてくれました。
一方、A男の料理のほうは……。真面目に鍛錬してこなかったせいで、見た目も味もボロボロ。彼は「俺が料理長だ!」と主張しましたが、女将は冷静にひと言。「サボりぐせやミスの押し付けをする人を置いてはおけない。息子だからと甘やかしてきた私の責任です。あんたはゼロから修行しなさい」
その後……。副料理長が料理長に昇給し、私はなんと副料理長に就任。女将・若女将・同僚とともに、お客様をもてなす日々を過ごすことになりました。A男は、知り合いの農家で今は食材作りから学びつつ人生修行をしているそうです。
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A男のようにミスを人に押し付けて責任逃れをしていると、たくさんの人から信頼を失ってしまいます。お客様のため、他人のミスなのに謝りに行った姿には頭が上がりません。料理の腕も認められてよかったですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。








