恩返しを決意して
帰国後、現店長から「年末の繁忙期だけでも力を貸してほしい」と頼まれました。急にスタッフが辞めてしまい、忙しい時期を乗り切るために助けが必要だったとのこと。私も恩返しのつもりで快諾しました。
事情を知った高校生のきょうだいは、「最初、失礼な態度を取ってすみません」と改めて謝ってくれ、私も自然と笑顔になりました。
クリスマスイブの日。私はサンタクロースの衣装を着て店に立ちました。「さて、やりましょうか」と気合いを入れてクリスマスケーキの仕上げをすると、限定品はあっという間に完売。久しぶりの忙しさに体は疲れましたが、心はとても満たされました。
若き才能へのバトン
閉店後、私が「体が続くうちは、ここで働けたらうれしいな」と話すと、きょうだいは目を輝かせて言いました。
「僕たちにもケーキ作り、教えてもらえませんか?」
聞けば、家庭の事情でなかなかケーキを買えず、「いつか母に自分たちの手でおいしいケーキを作りたい」と思っていたのだとか。その気持ちに胸を打たれ、私は空いた時間にケーキ作りの基礎から丁寧に教えるようになりました。
クリームの立て方、スポンジの焼き具合、飾りつけの工夫——。2人は学校とアルバイトの合間を縫って一生懸命学び、少しずつ上達していきました。








