同僚の前で恥ずかしすぎる姿に…

大学を卒業し、初めて就職した会社でのことです。学生時代はショートカットにカジュアルな服装が定番で、動きやすさを重視したスタイルでした。でも、ずっと「お姉さん系」に憧れていて、就職をきっかけに思い切ってイメージチェンジをすることにしました。
服や靴を一式買いそろえ、伸ばしていた髪にパーマをかけて、ふんわりとしたミニスカートに細いヒール靴。鏡に映る自分に、「ちょっとイケてるかも」なんて根拠のない自信を持っていました。だけどその半面、慣れない格好にどこか落ち着かない気持ちもあったのを覚えています。
そんなある日の退勤時、会社の階段を下りようとしたときのことです。下から数人の同僚が「一緒に帰ろう」と声をかけてくれて、私は笑顔で階段を降り始めました。ところが、ヒールが段差に引っ掛かり、バランスを崩してそのまま階段を滑り落ちてしまったのです。まるで正座をしたまま滑ったような格好で、かなりの勢いでした。
スカートがめくれ、階下にいた同僚たちに下着が丸見え。ストッキングは膝下が破れ、スネからは血がにじんでいました。
痛みと恥ずかしさで顔が真っ赤になったのは言うまでもありません。何より忘れられないのは、下で見ていた同僚たちの、なんとも言えない複雑な表情。「いい女風」に格好をつけていた自分が、一瞬で転げ落ちた気分でした。
その週末、思い切って髪をベリーショートに戻し、スニーカーとパンツスタイルに切り替えました。週明けに出社すると、会社の人たちは驚いた様子でしたが、不思議と自分の中では「これがやっぱり私だな」としっくりきたのです。
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さっそうとヒールで歩くには、日ごろから履き慣れることが必要なんだと、身をもって感じました。でも私は、そこまで頑張るのがどうしても面倒で、スニーカーに戻ったらその快適さに改めてホッとしました。おしゃれは我慢、なんて言葉もあるけれど、私にとっては「着ていてストレスがないこと」が何より大事なんだと気付かされた出来事でした。
著者:佐藤花/40代女性・主婦
イラスト/山口がたこ








