
私は38歳のシングルマザーです。離婚を機に実家の旅館を継ぎ、現在は女将として日々奮闘しています。10歳になる娘もこの旅館が大好きで、忙しいときにはお手伝いをしてくれることもあります。料理が自慢の老舗旅館として地元でも知られていましたが、最近、思いも寄らないトラブルが起きたのです。
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ごまかしが横行していた厨房
ある日、厨房で料理長のAさんと料理人のBさんが、仕入れについて話しているのが聞こえました。
「少し安い食材でも気付かれないだろう」「野菜の量を減らしても問題ない」
どうやら発注ミスをごまかそうとしているようでした。こうしたことは初めてではなく、私は女将として見過ごせませんでした。
「お客様にお出しする料理で手を抜かないでください」と注意したところ、Aさんは「料理のことを知らないくせに口を出すな」と強い口調で言い返してきました。Bさんも「この旅館は俺たちの料理で持ってるんだ」と鼻で笑います。
私は冷静に、「だからこそ、誠実な料理でお客様をおもてなししたいんです」と伝えましたが、2人は納得せず、険悪な空気のままその日は終わりました。
支えてくれたのはパートさんたち
翌日、Aさんたちは「残業代よろしく」と言い残し、後片付けもせずに帰ってしまいました。私がひとりで厨房の掃除をしていると、皿洗い担当のパートさんたちが「手伝います!」と集まってくれたのです。
「女将さんが大変そうだから」「調理場はきれいなほうが気持ちいいですもんね」と笑顔で協力してくれました。その姿に、胸が熱くなりました。
ところが数日後、Aさんが突然「もう辞める」と言いだしたのです。聞けば「大手ホテルのレストランから声がかかった」とのこと。Bさんも一緒に辞表を置き、厨房を去っていきました。
「料理人がいなくなったら、お客様に料理を出せない……」と、私はぼうぜんと立ち尽くしました。








