立ち上がる女将とパート一同
そんな私に、「ママ、食材はもうあるんでしょ? だったら、私たちで作ろうよ。捨てるのはもったいないよ」と娘が言いました。
さらにパートの1人が笑顔で言いました。「女将さん、少し包丁をお借りしますね。実は前職で調理の仕事をしていたんです。できる限り頑張ります!」。
その言葉に背中を押され、私たちは団体客の夕食を予定通り提供することに決めました。慣れない中でも力を合わせ、料理を作り上げていきました。何より、皆が「お客さまに喜んでもらいたい」という気持ちで1つになっていました。
奇跡の夕食とお客様の笑顔
完成した料理は、彩りも香りも豊かで、どこか家庭的な温かさがありました。お客さまは「やさしい味ですね」「また来たい」と口々に言ってくださり、胸がいっぱいになりました。
その日を境に、旅館は“おもてなしの心”を大切にした新しいスタートを切りました。郷土料理を中心に、地元食材を活かしたメニューが評判を呼び、少しずつお客さまが戻ってきたのです。








