
姉に誘われて、姉が社長を務める会社のバーベキューイベントを手伝いに行くことになりました。姉の会社は女性社員が多い広告代理店で、正直少し緊張していましたが、皆さんが温かく声をかけてくださり、和やかな雰囲気に包まれました。ところがその会場に、偶然私の勤め先の同僚が通りかかったのです。
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思わぬ遭遇
姉の部下であるC美さんと話しながら、お肉を焼いていたときのことです。C美さんが「焼き加減がちょうどいいですね」と笑顔を見せてくれた瞬間、聞き慣れた声が背後から飛んできました。振り向くと、職場の同僚B男が立っていました。
「お前もバーベキュー? もしかして姉貴の手伝いか? モテたいからって雑用までやるとはな」
冗談のつもりだったのでしょうが、からかうような口調に苦笑いしかできません。B男はさらに、「そんなことしてると会社みたいに都合よく使われるだけだぞ。優秀な俺とは違うけどな」と、いつものようにマウント気味に笑いました。
そこに姉が現れました。普段から落ち着いた雰囲気の姉ですが、このときは一段と堂々としていて、B男も一瞬、言葉を失っていました。
「こんな美人なお姉さんが!」と慌てて姿勢を正し、「いつも弟さんにはお世話になっています。B男と申します」と頭を下げます。
その後も、姉に取り入ろうと「お肉、焼きましょうか?」と調子よく申し出ましたが、姉はにこやかに「お気持ちだけで十分です」とやんわり断りました。会場の空気は、少しだけ張り詰めたものに変わっていきました。
姉の静かなひと言
それでもB男は空気を読まず、何かと話しかけ続けていました。姉はやがて微笑みながら、「では、1つ焼いてもらえますか?」とお願いしました。B男は張り切って肉を焼き、得意げに差し出します。ところが姉はひと口食べてから、穏やかに言いました。
「おいしいけれど……やっぱり弟の焼いたお肉のほうが私は好きですね」
B男は驚きましたが、姉は落ち着いた声で続けました。
「弟は、食べやすい厚さや味つけを考えて焼いてくれています。あなたのお肉も悪くありませんが、少し強火すぎたようですね」
その後、「あなたのことは弟から少し聞いています。いつも職場で頑張っているようですね」と姉は静かに言葉を添えました。
その言い方にはトゲはなく、むしろ「見ている人は見ている」というような含みを感じました。B男は苦笑いを浮かべながらも、どこかバツが悪そうでした。








