失われた味
店を辞めてしばらくたったころ、元同僚から「雑誌の取材が来たらしい」と聞きました。グルメ特集の一環で訪れた編集者のCさんが、スープを口にした際に「味が変わった気がします」と話していたそうです。
その後も、お客さまからの悪評が続き、雑誌への掲載は見送られたとのこと。さらにスタッフの入れ替わりも続いていると耳にしました。私自身がどうこう言える立場ではありませんが、長年関わった店の名前が出てくるのは複雑な気持ちでした。
一方、私は駅前にスープカレーの専門店を開きました。これまでの経験を生かしつつ、新しい味にも挑戦しました。和風出汁をベースにしたものや、ミネストローネをアレンジしたタイプなど、徐々に評判が広まり、ありがたいことに開店当初から多くのお客さまに来ていただきました。
ある日、店に取材で訪れたのは、あのCさんでした。スープカレーを味わった後、「具材との相性も良くて、とてもおいしいです」と笑顔で感想を伝えてくれました。
「以前、老舗レストランでスープを作っていらっしゃいましたよね? あの味に何度も助けられました」と話してくださり、胸が熱くなりました。
まとめ
その後、雑誌に掲載されたことで店はさらに忙しくなり、Cさんも取材の流れで時々食べに来てくださるようになりました。仕事の話をする機会も増え、客観的な視点から意見をいただけることが励みになっています。これからも、より多くの人に喜んでもらえるよう、新しいスープの開発にも力を入れていきたいと思っています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。








