計算が得意だった母が…

母は、スーパーで「今日は全部で〇円くらいね」と、ほとんど誤差なく言い当てるほど計算が早い人でした。そんな母と一緒にスーパーへ行ったある日、レジで合計金額を見た母が「あれ? おかしいな」と何度も小銭を探しつつ計算し直している姿を目にしたのです。
「ここに10円玉あるよ」と私が渡しても、「えっと……あといくら足りないんだっけ?」と困ったように聞いてくる母。今までなら一瞬で答えが出ていたはずなのに、どうしてこんなに戸惑っているのだろうと不思議でした。
その後、家に帰ってからも家計簿をつける母の手が止まり、「あれ、この数字合ってる?」と何度も確認を繰り返していました。「なんだか最近、計算がうまくできなくなってきた気がするのよね」と母は笑っていましたが、私にはその言葉がなぜか笑えなかったのです。
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昔から完璧主義で、私の目にはいつも完璧に映っていた母。周りからもしっかり者と思われていた母のそんな姿を見て、「あぁ、少しずつ老いが始まっているのかな……」と感じた瞬間でした。胸がぎゅっと締めつけられるような、何とも言えない思いが込み上げてきたのを、今でもはっきりと覚えています。
著者:上田愛子/30代女性・会社員
イラスト/エェコ
まとめ
親の老いは、ふとした瞬間に突然目の前に現れ、私たちを戸惑わせます。しかし、親の弱さや変化に「気付く」ことは、これからの親子の関わり方を見直す大切な第一歩でもあります。 かつての姿との違いに寂しさを感じることもありますが、変化を見逃さず、今の親の姿を受け入れていくことが大切です。ひとりで抱え込まず、周囲と協力しながら、無理のない範囲で親に寄り添っていけるとよいですね。
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※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています








