
私の実家では、母も仕事をしていたため、父のワイシャツ類はクリーニングに出していました。しかし夫の実家では、専業主婦の義母さんが洗濯からアイロンがけまでしていたようです。私自身は、自分の仕事用の衣類はクリーニングに出すことが多かったのですが、結婚後、夫は「家でアイロンをかけてほしい」とわが家流を押し付け、クリーニングに出そうとはしませんでした。
ひどい肩凝りと腰痛持ちの私にとって、前かがみの姿勢で重いアイロンを動かす作業は身体的負担が大きいため、大嫌いでした。共稼ぎで私は夫より帰宅が遅いのに、夫の家事協力はほぼゼロ。週末にまとめて約1時間アイロンがけするのですが、眉間にシワを寄せ、夏場は汗をかきながら、まるで苦行のようにアイロンをかける私の横で、夫はテレビを見たり、ゲームをしたり、うたた寝をしたり……。そんな状況も大きなストレスでした。
負担を減らしたくて「形態安定シャツに変えてくれると私もラクなんだけど」と何度か提案してみたのですが、夫は「形態安定シャツは絶対に嫌だ!」とかたくなに拒否。理由を聞いても不機嫌になるばかりで、教えてはくれませんでした。
入院を機にアイロンがけを卒業
不本意なアイロンがけを約25年続けたある日、私は脳梗塞で右半身にまひが出て緊急入院しました。幸い早期発見で重い後遺症もなく1カ月で退院でき、まひもリハビリで回復しましたが、右手の握力や右腕の力が以前より弱くなってしまいました。
入院している間、少し高圧的な夫との関係性や、ストレスフルな生活も原因の1つだったと気付いた私は、退院してからいくつかの家事を手放すことを決意。その1つがアイロンがけでした。
当時、コロナ禍で夫はリモートワーク中。その間ワイシャツの準備は不要でしたが、しばらくして出勤が始まってからも、私は決してアイロンをかけようとはしませんでした。なぜなら、ワイシャツのアイロンがけは手軽にアウトソーシングできる家事だからです。1着200~300円くらい出せば、クリーニング業者がきれいに仕上げてくれるのですから、安いものです。
以前は、私がアイロンがけを忘れて寝ていると、たたき起こして「アイロンかけて!」と大騒ぎしていた夫ですが、さすがに脳梗塞を患った後はそこまでできなかったようです。しかし、夫はクリーニングに出すことはせず、夜中に自分でアイロンがけを始めました。
夫がノンアイロンシャツを買ってきた
夫が自分で着るワイシャツをアイロンがけするようになって、3年ほどたちました。かつて「形態安定シャツは絶対に嫌だ!」と言い張っていた夫のお気に入りワイシャツは、どれも生地はおしゃれではあるものの、シワがつきやすく、アイロンがけが大変なものばかり。そんなワイシャツと悪戦苦闘する夫はイライラしていましたが、私は見て見ぬふりをしました。
ところが、2024年くらいから夫は、1着、また1着と、シワが付きにくいノンアイロンシャツを自分で買ってくるようになったのです。「人にアイロンがけをさせているときは絶対に許さなかったのに、自分でかけないといけなくなったら、これか……」と、私はため息を漏らさずにはいられませんでした。
いくつかのノンアイロンシャツを試した後、夫は先日、大量のノンアイロンシャツを買い込んできました。どうやら、今後着るワイシャツをすべて、ノンアイロンシャツに変えたようです。かつて夫のお気に入りだったシワの付きやすいワイシャツたちは、今クローゼットの奥で黄ばみ始めています。
まとめ
以前、なぜ夫があれほどまでに形態安定シャツやノンアイロンシャツを拒んだのか、その理由はいまだにわかっていません。ただ、アイロンがけに限らず、夫は昔から人に手間暇かけさせることで愛情を確かめるようなところがありました。それで夫は満足するのかもしれませんが、時間や労力を奪われ続けた者は心も体も疲弊していきます。なぜ、それを妻が病に倒れる前に気付けなかったんだろう? と不思議です。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
著者:あらた繭子/50代女性。1999年生まれの息子と2005年生まれの娘をもつフリーライター。長年にわたる無茶な仕事ぶりがたたり、満身創痍の身体にムチを打つ毎日。目下の癒やしは休日のガーデニングと深夜のKPOP動画視聴。
マンガ/☆まりかな☆かな
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年11月)








