
現在66歳の私は、嘱託職員として働きながら、5年前に亡くなった夫の後を継ぐように、33歳の息子と2 人で暮らしてきました。ただ息子は、就職しても長続きせず、現在もアルバイト生活。家にお金を入れることもなく、家事にもほとんど関わりません。一方、仕事のため1人暮らしをしている娘は経済的にも精神的にも自立しており、兄妹でここまで差がつくものかと感じる日々でした。
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突然の「入籍報告」と同居宣言
ある日の夕方、息子が初対面の女性を連れて帰宅しました。
「ここ、俺たちの家だから」と息子は軽い調子で言い、私は驚いて「どなた?」と尋ねました。
女性はにこやかに「A子です。今日入籍しました。よろしくお願いします」とあいさつ。息子は「さっき籍を入れてきたよ」と平然と話し、「だから来週からA子と住むから。俺がこの家を継ぐのは当然だし」と言いだしました。
あまりに急な展開に戸惑う私に対し、A子さんは家のカーテンを見て、「ここ、若い夫婦の家になるんですよね? カーテンも替えますね」と悪気なく言い、私が住み続ける前提ではなさそうな雰囲気を漂わせました。
息子も、「もう母さんも自由にしていいからさ」と、どこか突き放すような口調。その言葉を聞きながら悲しくなった私ですが、私はむしろ「息子から離れて暮らすいい機会かもしれない」と前向きに捉え、住まいを移す準備を始めました。
新しい住まいへ…そして数カ月後の再会
手ごろなマンスリーアパートが見つかり、私は自宅の賃貸契約を息子名義に変更して家を出ました。娘は「一緒に住もうか?」と申し出てくれましたが、部屋が狭いため、まずは私が落ち着ける場所を確保したのです。
家を出る日、息子とA子さんは「もう頼ってこないでね」と笑っていました。私は「大丈夫よ」とだけ返し、静かに新しい生活へ踏み出しました。
ところが数カ月後——。娘から「兄が来て騒いでいる」と連絡が入りました。慌てて駆けつけると、息子夫婦が玄関先で娘に食い下がっていました。
「家賃がこんなに高いなんて聞いてない!」
「光熱費もネット代も、全部こんなにかかるなんて……!」
どうやら、家が賃貸であることをよく確認していなかったようで、提示された家賃に驚いたとのことでした。私は「名義変更のときに書類も全部渡しておいたでしょう?」と説明しましたが、息子は「ちゃんと読んでなかった」とうつむくばかり。A子さんも、「こんな生活になるなんて思わなかった」と落胆している様子でした。








