
小さな農家を営む私は、規模こそ大きくないものの、丁寧に育てた野菜の品質には自信を持っていました。ある日、トラクターを運転しながら収穫作業をしていると、取引先から電話がかかってきました。
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下請けはどっち?
電話の相手は、取引先であるチェーン系レストランの運営会社を継いだ若い二代目社長・B山さんでした。
「もしもし、B山です。例のトマトですが、もっと大きな規模で収量を増やせませんか?」
私が「以前にもお話ししましたが、今の栽培方法では大幅な増産は難しいです」とお伝えすると、B山さんは少し強めの口調で、割安提供の相談を再度持ちかけてきました。
うちのトマトを評価してもらえるのはありがたいことです。しかし、有機栽培は急な増産が難しく、コスト面でも無理はできません。丁寧に説明してきたつもりでしたが、話は平行線のままでした。
すると突然、「できないなら下請けとの契約は見直しますよ」という、やや一方的とも感じられる言葉が返ってきたのです。
私は驚きながらも、「こちらとしても、無理な増産は避けたいので……」と冷静に返すことしかできませんでした。電話を切った後、サポート役として経営相談に乗ってくれているA子さんに事情を説明すると、彼女も「むしろ立場的には向こうが下請けなのでは?」と不満そうにしていました。
まさか、この数日後に本当に“契約終了”の連絡が来るとは思ってもいませんでした。
一方的な契約終了
後日、B山さんから「契約を終了します」というメールが届きました。理由は「より大量供給が可能な別の農家と契約したため」だと書かれていました。
先代社長とは長く良好な関係を築いてきたため、突然の通知には正直ショックがありました。しかし、必要以上の増産に追われる働き方を見直すきっかけにもなる、と前向きに考え直しました。
「これを機に、直接お客さまに届ける販路を強化しよう。無理な量の生産より、本当に作りたいものを丁寧に届けたい」
そう話すと、A子さんも「SNSやオンライン販売ももっと活用しましょう。私も勉強してきましたし、力になれますよ」と励ましてくれました。








