
病気で妻を亡くしてから、私は5歳の娘を育てるシングルファーザーになりました。仕事と家事、育児をひとりでこなさなければならず毎日が慌ただしいものの、娘の存在が何よりの支えです。そんなある日のことです。
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金曜夕方の試練と休日出勤
金曜日の夕方、帰り支度をしていると、同期のA山が「また定時で帰るのか?」と皮肉を言ってきました。私は「娘のお迎えがあるから」と伝えましたが、A山は納得していない様子でした。
そこへ、社内で“鉄の女”として知られる社長が現れ、「この企画書、今すぐ修正して。悪いけれど、あなたたち2人は今週末は休日出勤ね」と厳しく指示。
私は「わかりました」と答えましたが、社長は続けて「月曜の朝一番に重要なプレゼンがあるの。代休は必ず取ってもらうから」とフォローもしてくれました。
その日は急いで帰宅し、翌日は娘を連れて出社。社内には働く親向けの託児スペースがあり、保育士は常駐していないものの、安全に配慮した環境のため、そばで様子を見ながら仕事を進めることにしました。
社長の意外な一面
私が作業を進めていると、社長が進捗確認に来ました。そして娘を見た瞬間、少し驚いた声を上げました。
「かわいらしいお子さんね。あなたにお子さんがいること、知らなかったわ」
社長は表情を柔らかくし、「シングルで育児と仕事を両立しているなんて、本当に大変だったでしょう。急な休日出勤をお願いしてしまってごめんなさい」と言葉をかけてくれました。
思いがけない気づかいに、私は緊張がほぐれるのを感じました。








