
私は40歳の会社員です。大学卒業後、兄が社長を務める工場に就職し、大好きなモノづくりの仕事に携わってきました。特に、新しい部品の開発に関わることが生きがいで、試行錯誤を重ねる日々を楽しんでいます。そうした仕事ぶりを評価され、最近では昇進し、部下を持つ立場にもなりました。さらに、これまで上司が担当していたお得意さま・A社を引き継ぐことになったのです。
★関連記事:「雑用は俺の仕事じゃない」と勝手に仕切る55歳の新人。独断発注の末に下された会社の判断は
引き継ぎ目前にかかってきた一本の電話
「そういえば、今度A社を担当するんですよね?」
ある日、後輩からそう声をかけられました。A社は、長年取引のある大切なお客さまです。前社長から娘さんへ代替わりすることになり、そのタイミングで私が担当を任されました。年齢も近いと聞き、良い関係を築ければと期待していました。
実は、前任のころから特注の新製品を依頼されており、試行錯誤の末に完成した自信作を持って、翌日初めて訪問する予定だったのです。ところが、その前日に新社長から突然電話がかかってきました。
軽すぎる第一声と、違和感
「お待たせいたしました。今度御社の担当になりました、よろしくお願いいたします」
「あ~、私A子。よろしく~」
あまりに軽い口調に少し驚きましたが、それ以上に耳を疑う言葉が続きました。
「この前の注文、全部キャンセルで」
納品を翌日に控えたタイミングで、まさかのキャンセルです。理由を尋ねると、「別の業者なら半額でやってくれる」とのこと。「半額にできないなら今回はなかったことにする」と、一方的な要求でした。
私は、今回の製品が前任者の指示に基づき、時間と手間をかけて完成させたものであること、品質を維持したまま半額で製造することは現実的ではないことを丁寧に説明しました。しかし、話は聞き入れられず、電話は途中で切られてしまいました。








