思いも寄らない再会
指定された時間に会社を訪れ、面接室のドアをノックしました。中には面接官と社長が待っており、私は改めて深く頭を下げてお詫びをしました。
「遅れてしまった理由は、すでに聞いていますよ」
そう言われて安堵しかけた、そのときです。面接室のドアが開き、もうひとりの男性が入ってきました。その顔を見た瞬間、私は息をのみました。
そこに立っていたのは、朝、駅で介助したあの高齢の男性だったのです。
偶然がつないだご縁の正体
実はその男性は、この企業の役員の方でした。さらに聞けば、私が以前勤めていた会社の社長と旧知の仲で、廃業の際に「元社員が応募してきたら、ぜひ人柄も含めて見てほしい」と相談を受けていたそうです。
そこへ偶然、駅での出来事が重なり、私の行動が耳に直接入った――。単なる偶然ではありますが、不思議な縁を感じずにはいられませんでした。男性は穏やかな口調で、「自分の予定より、困っている人を優先した。その姿勢は、仕事以前に人として大切なものだと思います」と言いました。
結果として、私は事務職として採用され、新しい職場で働くことになりました。前職で学んだことを生かしながら、日々やりがいを感じて過ごしています。前の会社の社長からも励ましの言葉をもらい、「これからが本当のスタートだ」と、気持ちを新たにしました。
人との出会いは、思いがけない形で人生を動かすことがあります。このご縁に感謝しながら、今後も誠実に、前向きに歩んでいきたいと思います。
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思いがけない出来事をきっかけに、人柄が評価され、新たなご縁へとつながった今回の体験。善意ある行動は、巡り巡って自分自身の未来を支える力になるのかもしれません。目の前の人に誠実であることの大切さを、改めて感じさせてくれるエピソードでしたね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。








