
私は30歳のイラストレーターです。出版業界で働くA也と出会い、3年間の交際を経て婚約しました。子どものころから、何かにつけて口出ししてくる母に息苦しさを感じてきましたが、A也が片親だという理由だけで結婚に反対されるとは思ってもいませんでした。
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「正しさ」を押し付けてくる母の価値観
ある日、仕事が立て込んで帰宅が遅くなり、「あと30分ほどで帰ります」と母に連絡しました。しかし家に着くなり、「こんな時間まで何をしていたの? まさかA也と会っていたんじゃないでしょうね?」と問い詰められました。
「仕事だよ……。それに私、もう30歳だよ?」と伝えても、「嫁入り前の娘が残業なんて非常識。そんな不安定な仕事は反対!」と一方的です。イラストレーターになるのは、私がずっと抱いてきた夢でした。「今が踏ん張りどころなの」と説明しても、「女の幸せは結婚して家庭に入ること」と聞く耳を持ってもらえません。
さらに母は、「A也は年下で父子家庭。まともな育ちとは言えない」と偏見に満ちた言葉を口にし、「母親の愛情を知らずに育った人は信用できない」とまで言いました。私は「それはひどい決めつけだよ。A也は本当に誠実な人」と必死に訴えましたが、「お母さんは認めません。この話は終わり」と、強引に会話を打ち切られてしまいました。
その夜、私はA也に連絡しました。詳しいことは伏せつつ、「母と少しぶつかってしまって……」と相談すると、彼は責めることなく、「心配してくれているんだと思うよ。一緒に考えよう」と穏やかに受け止めてくれました。
「ドレス姿、楽しみにしてるよ」と冗談めかして言われ、張り詰めていた心が少し軽くなりました。この人となら、どんなことがあっても向き合っていける。そう思えた瞬間でした。
母の行動に言葉を失う
ところが数日後、信じられない出来事が起こります。母が私に無断で、結婚式場のドレス試着の予約をキャンセルしていたのです。さらに、私が時間をかけて描いた招待状は「いらない紙だと思って捨てた」と言われ、極めつけは、完成間近だったウェルカムボード。A也の顔だけが黒く塗りつぶされていました。
私はあまりのショックに涙が止まらず、「本当にごめんね……」とA也に謝りました。それでも彼は、「直せばいいよ。これから家族になるんだから」と、明るく励ましてくれました。
「式は無理に急がなくてもいい。一緒にいられればそれでいい」。その言葉に救われながらも、私は思ったのです。このまま母の言動を受け入れ続けるわけにはいかない、と。
翌日、私は母にメッセージを送りました。
「結婚式、やめることにした」
「このままなら、距離を置くことも考えてる」
するとすぐに、「本当? やっとわかってくれたのね!」「やっぱり問題のある人だったでしょう?」と、どこか安心したような返信が返ってきました。その反応を見て、私の決意は揺るぎないものになりました。








