年収が下がっても転職したい?なぜ今なの!

息子が塾通いを始めてから、すでに100万円近くの大金を支払っていたわが家。これから先、受験料や入学金、1人暮らしの準備など、多額の教育費がかかります。計画的に準備してきたつもりでしたが、大学進学に必要な費用は予想をはるかに超えるものでした。
そんな中、夫が転職サイトをチェックして、履歴書を送り始めたのです。「どうして転職したいの? 」と聞いても「将来的に、この仕事を続けられるか不安があるから」という、よくわからない答えが返ってきます。転職したら収入が減るのでは?という私の懸念に対しても「収入が減っても転職したい」の一点張り。私は夫に対して怒りを覚えました。
ところが夫が転職活動を始めて、しばらくたったある日のことです。会社から帰宅した夫の顔を見た瞬間、思わず「何かあった? 」と聞いた私。それほど、夫の様子がいつもと違ったのです。
夫がポツリポツリと話し始めたのは、異動になった部署で、上司から暴言などを受けていること、今日どうしても我慢できなくて「辞めます」とたんかを切って帰ってきたこと…… 。どれも「ウソでしょ? 」と言いたくなるようなことばかりです。
夫はもともと争い事をきらい、もめるくらいなら自分が我慢しようというタイプ。相手に対して反論するでもなく、誰かに相談するでもなく、我慢し続けているうちに限界を感じたことが、転職活動を始めた理由でした。
私が「明日、退職願を出しておいでよ」と言うと、夫はびっくりしていましたが「ごめん、ありがとう」と、どこかホッとしたような表情を見せていました。収入面の不安はありましたが、お金よりも大切なのは心の健康を保つこと。私が働いて何とかしようと覚悟を決め、すぐに退職願のフォーマットをダウンロードして夫に渡しました。
夫から息子に、会社を辞めるかもしれないけど大学進学の費用は心配しなくてよいことを伝え、今回の経緯を簡単に説明。最後に私が「お金は働いて稼げるけど、心の健康はお金では買えない大切なことだから」と伝えると、「そうだね」と落ち着いた様子で聞いていました。
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夫は翌日から会社の役員と面談を重ね、最終的には他の部署に異動することになり、今でもなんとか勤務を続けています。当時、息子の大学進学でお金の話をする機会も多くなり、知らず知らずのうちに夫を追い詰めていたのかもしれません。
今回の件は、夫にはつらい出来事でしたが、私自身本当に大切なことに気付くきっかけになりました。息子にとっても、今後の人生で大切な人に何かが起こったとき、優先すべきことを選択する上で今回の経験が生かせるといいな……と思っています。
著者:樫原有香/高校生の息子を持つアラフィフ。現在は整理収納アドバイザーの資格を生かして、オンラインを中心にした仕事をしている。たまの息抜きは、友人を招いて自宅で開催するホームパーティー。
イラスト/さくら
まとめ
3組の夫婦の事例から、トラブル解決の糸口は一つではないことがわかります。1組目のように正直な気持ちを伝えて分担を見直すこと、2組目のように相手の価値観を否定せず、別の方法で補うこと。そして3組目のように、世間体や収入よりも「家族の心身の健康」を最優先にする決断も時には必要です。
夫婦といえど元は他人同士。「察してほしい」「我慢すればいい」と思い込まず、その時々の状況に合わせて、柔軟に関わり方をアップデートしていくことが、長く円満な関係を続ける秘訣なのかもしれません。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています








