夫に家事と猫の世話を引き継ぎ
そのときちょうど緊急事態宣言中で夫は在宅勤務、3食を自分でどうにかしなければなりません。加えて老猫3匹のうち1匹が病気で通院が必要な状況でもありました。さらには家の契約・銀行・保険・年金・税金などのいっさいの事務管理を私がしていたので、全身麻酔で内臓を一つ取るという大きな手術の万が一に備えて、それらを夫がわかるように引き継いでおく必要もあるだろうと思ったのです。
迫りくる2週間後の入院に向けて私は、夫にご飯の炊き方や味噌汁の作り方、ネットスーパーの注文の仕方、洗濯の仕方、猫3匹のごはんのあげ方、猫トイレの掃除の仕方、キャットフードや猫砂の注文の仕方、猫の病院への連れて行き方などなどを、レクチャーしながら実践訓練もさせて、さらには重要書類や印鑑を、のほほ~んとした夫でもすぐにわかるようにまとめ、会社を辞めるときのようにすべての引き継ぎ作業をしたのでした。
これだけの業務ともいえることを2週間で教え込み、夫がひとりで回せるように仕込まなければならなかった私は、自分の手術の不安に浸る余裕もないほどに必死でしたが、苦手な家事や事務管理を覚えてできるようにならなければいけなかった夫も大変だったことでしょう。
無事に手術を終え、経過も良好
こうして私はどうにか家のこと全般を夫に引き継ぎ、入院し手術を受けたのでした。私のがんはステージⅠaという本当に初期の初期で、すでに閉経状態であったことと卵巣への転移のリスクをなくすためか、子宮だけでなく両卵巣も摘出する「準広汎子宮全摘出術(じゅんこうはんしきゅうぜんてきしゅつじゅつ)」を腹腔鏡下でおこなう手術でした。
内臓を一つ取るのですから手術直後の痛みは半端なかったですが、術後1カ月、3カ月、半年と徐々に患部の痛みは和らいでいき、1年が過ぎるころには手術をしたことも忘れていられるほど、痛みを感じることはほとんどなくなりました。
がんが初期の初期であったことと転移の可能性が低いことから抗がん剤治療の必要もなく、術後1年半たった今は半年に1回の血液検査と細胞診のみで、5年間の経過観察が続く予定です。
さて、家事苦手夫はどうだったのかというと、自分の食事はご飯を炊いて味噌汁を作れるようになっていましたが、お総菜はスーパーで買ったり、私が教えていない「Uber Eatsで注文する」という技を身に付けていました。
まとめ
結局、私が回復するとともに、家事の大部分は再び私の担当に戻りました。人任せでのほほ〜んとした夫の性格も、そう簡単には変わりません。
しかし、一つだけ大きな変化がありました。それは、夫が猫たちの世話を完全にマスターし、今では主担当として動いてくれるようになったことです。この「夫ができること」の積み重ねが、私の時間的なゆとりを生み、ずっと念願だったライターへの挑戦を後押ししてくれました。
突然のがん告知は絶望的な出来事でしたが、今振り返れば、家族の自立と私の新しい人生を促すための「ギフト」だったのかもしれません。もしもの時に備えることは、残される家族への愛であると同時に、自分自身の未来を自由にする一歩にもなるのだと実感しています。
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※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
監修/駒形依子先生(こまがた医院院長)
2007年東京女子医科大学卒業後、米沢市立病院、東京女子医科大学病院産婦人科、同院東洋医学研究所を経て、2018年1月こまがた医院開業。2021年9月より介護付有料老人ホームの嘱託医兼代表取締役専務に就任し現在に至る。著書に『子宮内膜症は自分で治せる(マキノ出版)』『子宮筋腫は自分で治せる(マキノ出版)』『膣の女子力(KADOKAWA)』『自律神経を逆手にとって子宮を元気にする本(PHP研究所)』がある。
著者:小沢さおり/50代女性。年下外国人夫と結婚して約25年。40代からは体の不調に振り回されながら猫3匹の下僕として生活を送る。念願のライター業に一歩を踏み出すも、高齢の両親のお世話も加わり、どうなる私の人生後半戦。
マンガ/しおみなおこ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています








