
私は30代で起業しました。若いころはIT企業で働き、技術と経営の基礎を学びながら資金を蓄えてきました。1年前、念願だった保護動物のための事業を立ち上げました。自動給餌・給水、遠隔見守り、異変検知通知などを統合したシステムを開発し、保護団体や施設向けに提供しています。事業は想像以上に順調に進み、投資家からの出資も得ることができました。そこで私は、以前から相談していた実家の一部を改修し、実証拠点として活用する計画を進めることにしたのです。
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リフォーム後に起きた方針の食い違い
リフォームが完了した日、実家のリビングで完成を確認していると、両親と妹夫婦がやってきました。
「リフォームありがとう。ここは私たちが住むことにするから」
突然の言葉に、私は驚きました。事前に「一部スペースを保護活動の拠点として使う」という話し合いをしていたからです。しかし両親は、「やはり住居として使いたい」と考えを変えた様子でした。動物の受け入れに対して不安があったのかもしれません。
感情的になるのは簡単でしたが、私は冷静に考えました。事業として責任を負っている以上、曖昧な状態で進めるわけにはいきません。
「わかったよ。事業は別の場所で進めることにする」
そう伝え、私は実家での展開を断念しました。家族との距離も、このとき自然とできたのだと思います。
自社ビル取得という決断
数カ月後、私は住居兼オフィスビルを購入しました。
1階を保護動物の受け入れスペース、2階をスタッフやボランティアの宿泊スペース、3階をオフィス兼居住スペースとして活用しています。
広報担当のA子さんは元保護団体勤務で、現場経験も豊富な存在です。
「社長、新しい子を受け入れました。環境にもすぐ慣れそうです」
そう報告を受けるたびに、この決断は間違っていなかったと実感しました。








