
義父の会社を継いだ夫は、地元で信頼されていて、人望もあり、善意ある行動をすることでも知られています。そんな「いい人」である夫の評価が、一瞬で崩れてしまうような出来事がありました。舞台は、町のお年寄りたちにとって大切な憩いの場のお店。お酒の席での夫の振る舞いが、周囲のひんしゅくを買ったのです。そしてその後、あるお年寄りが会社を訪ねてきて、夫は脂汗をかくことに……。
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まるで表の顔と裏の顔! お酒が入ると別人に
結婚して20年目。互いに40代後半となった私たち夫婦の間には、振り返れば何度も衝突がありました。その原因のほとんどが、夫のお酒。お酒が入ると気が大きくなり、周囲への配慮が一気に抜け落ちてしまうのです。
夫は、普段は気配りもでき、地元では「頼りになる経営者」として知られていて、実際、コロナ禍でマスクが不足したときには、自ら調達して、町の小中学生に配るようなやさしさも持っています。だけどお酒が入ると別人のようで、その落差に私は長年、嫌気が差していました。
そんな夫が、自らの信頼を損ねるお酒の失敗を、またやらかしたのです。まだ感染対策が強く意識されていたコロナ禍で、少しずつ世の中に活気が戻り、飲食店も息を吹き返し始めたころでした。ある日曜日、夫は「仲間と定食屋に行く」と言って出かけていきます。その店は、町のお年寄りから子どもまでが集う、いわば「地域の居間」のような存在。特に高齢者にとっては、貴重な憩いの場でした。
お年寄りの願いも聞かず大どんちゃん騒ぎ
夫たちは昼間からその店の一角を陣どり、約10人で酒盛りを始めました。黙食、マスクが当たり前だった時期に、店員さんも困惑するほどの場違いとも言えるどんちゃん騒ぎ。結局夫が帰宅したのは、夜10時過ぎでした。私はお店に対して申し訳ない気持ちになり、後日、そこで働く知り合いに謝りに行きました。そのとき聞かされた話は、想像以上に恥ずかしいものだったのです。
お年寄りが静かに食事をする横で大声を出し、知り合いを見つけるたびに仲間に引き入れ、人数は増える一方。ついに1人のお年寄りが勇気を出して声をかけたそうです。
「ここは老人のファミレスなんだ。外に出る機会が少ない私たちにとって、ここでゆっくり食事するのが楽しみなんだよ」
その直後は態度を改めたものの、しばらくするとまた宴会が再開されたと聞き、私は言葉を失いました。
帰宅後、夫に事実を伝えると、返ってきたのは反省ではなく言い訳でした。
「最後までいなかったのでよく知らない」「そんなに騒いだつもりはない」
私は、日ごろどれだけ良いことをしていても、たった一度の無配慮で信頼は簡単に崩れるのだ、と夫に伝えましたが、聞く耳を持ちませんでした。








