お坊さん登場、いとこがまさかのひと言

お葬式のとき、お坊さんが入場してきた瞬間、隣にいた小学生のいとこが「あ! 武田信玄やん!!」と、思いの外、大きな声でうれしそうに言いました。お坊さんの袈裟(けさ)や剃髪姿(ていはつすがた)が、歴史の本やテレビで見た戦国武将の出家後の姿にそっくりだったのでしょう。その言葉に、私は思わず「いや、あれは上杉謙信やろ!」と突っ込んでしまいました。
一瞬、会場はシーン……と静まり返りましたが、次第にクスクスと笑いがこぼれ、ついにはみんな笑いをこらえきれず爆笑してしまいました。
冷静に考えれば大したことではないのですが、「笑ってはいけない」場面だからこそ、余計にツボに入ってしまったのだと思います。幸いなことに、親族も一緒になって笑ってくれたので、場の雰囲気は和やかになりました。
それ以来、お葬式に参列するたびにどうしてもいとこの発言を思い出してしまい、笑いそうになる自分がいます。「笑ってはいけない」と思うほど、人は逆に笑いたくなってしまうものなのだと、身をもって実感しました。
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厳かな場での思いがけない出来事は、今も私の心に強く残っています。あのとき、周りが温かく受け止めてくれたことが本当に救いでしたが、やはり少し申し訳ない気持ちも残っています。
著者:待兼和仁/30代女性・会社員








